秋葉原は今

<秋葉原は今>21.パソコンの用途提案を徹底

2006/04/17 16:51

週刊BCN 2006年04月17日vol.1134掲載

 石丸電気が昨年3月に「パソコン本館」をオープンし、パソコンや関連機器の販売を1店舗に集約したのは、「情報関連機器に関する各ユーザーへの用途提案は電気街が適している」(寒河江勤・パソコン本館店長兼営業本部情報統括)と判断したためだ。

 秋葉原には、パソコンの初級者から上級者、組立パソコンのパーツユーザーなど、さまざまな顧客が訪れるため、パソコン本館では各ユーザーに合った接客を行っているという。「パソコンに詳しくないユーザーに対しては、パソコンを使ってデジタルカメラ画像やデジタルビデオカメラ映像の編集ができることや、家庭の回線をブロードバンドにすればインターネットを通じたコンテンツのダウンロードがスムーズになることなどを提案する。パソコンが便利なものであると訴えれば必ず売れる」としている。

 このような接客をするのは、パソコンに安さだけを求める傾向が高まっているためだ。「お客さんには、単に安いというだけで購入して欲しくない。もしメーカー製モデルが適していないのなら、シンプル機能の低価格モデルとパーツや周辺機器、ソフトウェアなどを組み合わせて提案することもある」。こうした接客法が、粗利確保にもつながっているようだ。

 同社は、これまで提案型の接客をしてこなかったわけではない。しかし、「昨年から一段と意識するようにスタッフに指示することを徹底した」という。駅前の都市再開発により、従来は秋葉原に馴染みが薄かったユーザーも訪れるようになった。接客重視は、「パソコンに関していえば、街の集客力が高まったことで初級者が増えている」ためだ。同社の店舗なかでも、いち早く情報関連機器の集約に取り組んだのは、街の集客増で新規顧客を多く囲い込むことが狙い。「電気街のショップは、お客をほったらかしにすると見られがち。そこで、きちんと説明し、提案する接客を徹底した。結果的にこの接客が差別化になった」としている。

 また、リピーターを増やすため、購入後のサポート面もアピールしている。商品の日時指定配送や大型家電の設置、パソコンの初期設定など、さまざまなメニューを用意している。「自社で手がけているため、外部業者を活用する他社とはサービスの質が違う」と自負する。

 同社は、秋葉原の売上比率を06年度(07年3月期)に全体の60%(前年度は約50%)に引き上げる計画。低収益体質といわれるパソコンの販売で収益確保の体制を整備したことは、計画達成の大きなステップとなる。(佐相彰彦)
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