秋葉原は今

<秋葉原は今>23.ソフマップ、新品をメイン商品に

2006/05/01 16:51

週刊BCN 2006年05月01日vol.1136掲載

 家電量販店が専門店化する一方で、パーツ専門店がパソコン本体やデジタル家電の取り扱いに着手するなど、秋葉原電気街は競争が一段と激化する方向にある。各ショップの取扱商品が重複していくのは必至で、なかでも情報関連機器の販売に関してはパソコン専門店化が進むといえる。そのため従来のパソコン専門店は他店との差別化をさらに明確化しなければならないだろう。

 こうした状況下で、中古品の販売が主力事業のソフマップが、「電気街では新品の販売を強化し、中古品との相乗効果を生みだす」(井澤秀夫・店舗営業本部秋葉原営業部副部長)ことを掲げ、電気街の店舗再編を実施した。1号店であるパソコン専門店「Chicago」は「マルチメディア館」と店名を変更し、新品パソコンやデジタルカメラ、携帯電話、DVDレコーダーを充実させたほか、テレビゲームやPCゲームソフトを新しく追加。中古パソコンの品揃えが特徴的だった「カクタソフマップ」は、店頭近くに新品パソコンを展示するようになった。

 リニューアルを図ったことで、マルチメディア館のアイテム数が以前と比べ約8000アイテム増加し、カクタソフマップのパソコン展示数は1000台以上に達した。「リニューアルで当社のアピールするコンセプトが消費者にすぐに伝わるとは限らない」ため、4月7-30日で電気街限定リニューアルセールを実施した。「その期間の購入者分析を5月末までに行う。もし、予想通りの顧客層が獲得できていなければ、分析データをもとに再度リニューアルする。最適な店に仕上げることを追求する」としている。

 秋葉原地区の再編は、高齢者や女性客の集客増に結びついた。このため「新品をメイン商品に位置づけることで、初級者層の顧客増につながるのではないか」との見方も強い。パソコン知識が豊富なスタッフが揃っている電気街ならではの自信の表れから、「店頭で新品をアピールすれば初級者が来店するケースは多くなる。店内に誘導すれば、接客を通じてお客さんが求めるパソコンを聞き出せる。新品でニーズに合った商品がなければ、中古や自社ブランドモデルで対応できる」というわけだ。

 ソフマップはビックカメラの子会社になったことも、新品を拡販できるようになった要因のひとつ。なかでも、ポイントカードの還元率がこれまでより大幅にアップしており、競合店との価格競争に対抗できる新たな体制が整ったといえる。(佐相彰彦)
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