店頭流通

ソニー 公約通りにテレビ事業を黒字化 第3四半期は過去最高の売上高に

2007/02/19 18:45

週刊BCN 2007年02月19日vol.1175掲載

 ソニーが発表した2006年度第3四半期連結決算で、テレビ事業が黒字転換したことが明らかになった。

 同社では、06年度下期からのテレビ事業の黒字転換を掲げており、その公約を果たしたことになる。発表によると、第3四半期におけるテレビ事業の売上高は、前年同期比15%増の4250億円、営業損益は前年同期の40億円の赤字から170億円改善して、130億円の黒字となった。

 「これを維持し、06年度下期を通じてテレビ事業の黒字化を達成したい」(大根田伸行・EVP兼CFO)としている。

 「国内ではシャープの攻勢があり、国内液晶テレビ市場では予定よりも差がついた」として計画を下回ったことを明らかにしたものの、「液晶テレビ全体としては好調で、計画を上回っている。北米市場においては、30%近いシェアを獲得したほか、欧州市場においては32インチモデルの売れ行きが予想を上回ったことが増収の要因」とした。

 また、価格下落の影響については、「40インチの液晶テレビの下落率は年間30%程度と想定していたが、35%程度まで落ちている。予想よりも前倒しで下落している感じだ」としたものの、「これも夏に想定していた範囲」として、収益への影響が少なかったことを示した。

 一方で、リアプロジェクションテレビやブラウン管テレビが苦戦していることに触れ、「当社がリアプロテレビで採用しているSXRDは、大型化では優位性を保てると考えている。松下電器がプラズマテレビで激しい価格攻勢を行っているが、50インチ以上の大型分野では、コスト競争力、薄型化、HD化を含めて、十分戦っていける」と、リアプロテレビ市場における今後の大画面戦略にも意欲をみせた。リアプロテレビは、今年度180万台の出荷計画を110万台に下方修正している。さらに、サムスンとの合弁で設立している液晶パネル生産のS-LCDが、第3四半期で約7億円の損失を計上したことについては、「価格下落が激しく、採算性が悪い32インチが数多く出たためであり、いつまでもこのままというわけではない」と弁明している。

 同社では、今年度計画で、年間600万台の液晶テレビを出荷する計画だが、「来年度は1.5倍に増やしたい」と意欲的だ。

 なお、エレクトロニクス事業の売上高は、前年同期比16.9%増の1兆8727億円、営業利益は前年比102.8%増の1774億円と大幅な増収増益。全社の連結売上高は前年同期比9.8%増の2兆6077億円で、四半期としては過去最高。営業利益は14.9%減の1789億円、税引前利益は20.4%減の1798億円、当期純利益は前年比5.3%減の1599億円となった。
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