Special Issue

日立システムズ、ノーコード・ローコード開発や前方互換の機能拡張とパートナープログラムで「つながるERP」へとさらに進化

2025/11/14 09:00

 業務システムのクラウド移行の進展に伴い、ERPの導入はこれまでのカスタマイズ前提から、業務プロセスをシステムの標準機能に適応させる「Fit to Standard」の考え方にシフトしつつある。2025年11月に提供を開始したクラウド型の生産・販売管理システムである「FutureStage 販売・生産管理」の特徴や、パートナープログラムについて、日立システムズ 産業・流通営業統括本部 第一営業本部 第四営業部の豊田賢一部長と、同部の黒澤苑子セールスマネージャに話を聞いた。

高まる「Fit to Standard」へのニーズ 日立グループの叡智が宿るERPはクラウド版へ

 日立システムズは約40年にわたり、製造業や卸売業に向けた基幹システムパッケージの開発・提供を続けており、11月から新たに提供開始したクラウド型の「FutureStage 販売・生産管理」は、日立グループの実績と知見が反映されている。生産管理と販売管理に軸足を置き、業務システムを統合管理することで企業全体の業務効率を向上させるなどの経営課題を解決する。

 「これまではオンプレミス向けのパッケージ製品の直販が中心だったが、今回新たにクラウド版の提供とパートナープログラムが開始された」と、日立システムズの黒澤セールスマネージャは話す。背景には時代の変化がある。従来は顧客の業務や業界の商慣習を維持することが重要視され、ERPシステムの導入には複雑なカスタマイズが必要だった。しかしそれは品質やコスト、時代の変化への俊敏な対応力などの点で多くの代償や課題を生んできた。「そこで、自社業務をシステムの標準機能(業界標準)に寄せていく“Fit to Standard”の考えに、多くのお客さまがシフトしてきている」(黒澤セールスマネージャ)。
 
黒澤 苑子
日立システムズ
産業・流通営業統括本部
第一営業本部
第四営業部
セールスマネージャ

 今回リリースするクラウド版を利用いただくことにより、顧客は業務をなるべく標準機能に寄せる必要があるものの、どうしてもカスタマイズが必要になる部分はノーコードやノーコードといった開発手法を通じて顧客の要望に寄りそえる仕組みも用意されている。

 クラウド版では、企業規模や開発の幅でLite版とStandard版の二つのモデルが用意されている。前者は標準機能での運用を基本に低コストで利用したい企業向けのモデルで、ノーコード開発を行うことができる。後者は自社運用に合わせた機能拡張をコストを抑えて行いたい企業向けでノーコード開発とロ―コード開発の両方を行うことができる。

応研との共創で汎用性の高さを組み合わせて拡張性を強化

 クラウド版の登場により、これまでERP導入にはハードルが高かった企業でも、FutureStageを通じて日立グループの長年の知見と実績の恩恵を受けることができる。黒澤セールスマネージャは「Lite版とStandard版では主にローコード開発ができるかどうかが違うだけで、基本機能は同じだ」と話す。

 例えば、ノーコード開発では、帳票や入力画面の設計、伝票の計算ロジックの変更などを視覚的かつ簡易に機能変更できる。ローコード開発では、必要な機能を差し替えまたは追加するプラグイン方式での柔軟な機能拡張が可能になり、標準機能をベースに一部機能のみをプラグインすることで 開発コストを抑えられる。
 
FutureStageは「つながるERP」としてノーコード・ローコード開発に対応し、高い前方互換性を備える

 さらにクラウド版のコンセプトには「前方互換」と「つながるERP」がある。前方互換とは、ノーコード・ローコード開発を行なっても、システム本体の核となる領域に影響を与えずに機能拡張が可能であることを意味する。「法改正やOS入れ替えがあったとしても、大きなコストをかけることなく開発した部分は継続して利用できる」と、豊田部長は話す。「つながるERP」については、GX(温室効果ガス排出量の管理など)、DX、BI、AIなど、顧客の業務や課題に合わせてさまざまなシステムやモジュールと連携できるような拡張性を備えている。「こうした機能拡張性や汎用性は、応研の『大臣エンタープライズ』の開発フレームワークを活用することで実現している。将来的には、需要予測など、私たちが培ってきたノウハウにAIを組み込むことも考えている」と豊田部長は話す。

パートナープログラムで共創ビジネスの新基軸を切り開く

 また、「つながる」という意味では、機能拡張だけではなく、外部のパートナー企業との連携も積極的に進めている。新たに始まるパートナープログラムには、開発パートナーと販売パートナーの2タイプがあり、それぞれの企業の強みに合わせて参加可能だ。
 
豊田 賢一
日立システムズ
産業・流通営業統括本部
第一営業本部
第四営業部
部長

 パートナープログラムに参加する企業には、日立システムズから顧客紹介や共同提案、セミナー開催、展示会支援、拡販ツールなどの営業的な支援や、必要に応じて教育やプロジェクトの後方支援(一部有償)など技術的な支援も行う予定だ。新規パートナー向け期間限定キャンペーン、応研パートナー向けの特別価格なども用意している。参加企業が増えたら、表彰制度やパートナーコミュニティーの展開も考えているとのことで、本パートナープログラムは中堅・中小企業向け事業領域における日立システムズのパートナービジネスの先駆けとなり、他製品にも広がる可能性を秘めている。

 豊田部長は「クラウドサービス型のシステムを販売していただくため、収益構造的に安定したストックビジネスとなり、パートナー様のビジネスに貢献できると考えている。FutureStageを通じて国内の製造業、卸売業の皆様のご発展、ひいては真に豊かな社会の実現に貢献したいという考えに共感いただけるパートナー様と一緒に取り組んでいきたい」と強調する。
  • 1

関連記事

日立システムズ、Google Cloudセキュリティーソリューションを提供

日立システムズ、アシスタントAIの第2弾「営業向けアシスタントAI」を提供

日立システムズなど、生成AIを活用したヘルスケア分析基盤を構築

外部リンク

日立システムズ=https://www.hitachi-systems.com/