店頭流通

パイオニア シャープが筆頭株主に 液晶テレビ市場に参入

2007/10/08 18:45

週刊BCN 2007年10月08日vol.1206掲載

 シャープとパイオニアは、資本および業務で提携すると発表した。シャープは、パイオニアの筆頭株主となり、技術開発で共同歩調をとって新たなコンセプトの製品創出などに取り組むほか、次世代DVDや映像ディスプレイ、ネットワーク分野、カーエレクトロニクス分野での協業を図る。

海外事業の協業など見込む

 資本提携では、パイオニアが第三者割当増資による3000万株の普通株式を発行。全数をシャープに割り当てる。また、シャープは、保有する発行済みの普通株式の0.9%にあたる1000万株をパイオニアに第三者割当する。これにより、シャープは、パイオニアの14.28%の株式を取得し筆頭株主となり、一方でパイオニアは、差し引きで218億円の資金を獲得し、これを技術開発などに活用する。

 シャープの片山幹雄社長は、プラズマテレビ分野への参入がないことを示す一方で、パイオニアの須藤民彦社長は、「どのプラズマテレビメーカーも、液晶テレビを品揃えしている。液晶テレビをラインアップに加えることは現実的な判断」として、シャープから液晶パネルを調達し、液晶テレビ市場に新たに参入すること明らかにした。シャープにとっても、安定的なパネル供給先が確保でき、大型工場の操業にあわせた受け皿がひとつ増えることになる。

 一方、両社の経営統合はないとしたものの、パイオニアの安定株主が約20%であり、それにシャープの約14%を加えると、3分の1以上を占めることとなる。合併決議の拒否権などの発動が可能になるという、パイオニアの買収防衛の狙いも見え隠れする。

 競合メーカーの幹部からは、「どんなシナジーが創出されるのかは未知数だが、他社の事業を脅かすものではないだろう」と、市場への影響を懐疑的にみる声が多く、「プラズマテレビ陣営の一角が崩れたとの見方は正しくない」との声も聞かれる。

 だが、シャープにとっては、これまで手つかずだったカーエレクトロニクス分野での協業体制を確立できること、中小型から大型までの液晶パネルの販売先が安定的に確保できること、液晶テレビの音質面での技術的な強化が図られること、海外事業におけるパイオニアとの協業が推進できること、そして、戦略製品であるBlu-ray向け青紫色半導体レーザーなどのデバイス技術の普及といった点でも効果をもたらしそうだ。

 問題は、両社の文化の融合と、経営の距離感をどう位置づけるかにある。失敗すれば、かつての松下・日本ビクターの関係になりかねない。
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