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ソニー 世界初、有機ELテレビを投入 「技術のソニー」復活の象徴に

2007/10/15 18:45

週刊BCN 2007年10月15日vol.1207掲載

 ソニーは、世界初となる有機ELテレビ「XEL-1」を12月1日から発売する。わずか3ミリという画面の薄さが特徴で、11インチのパーソナルテレビとしての用途を想定。価格は20万円。月産2000台体制とする。中鉢良治社長は、「有機ELテレビを技術のソニー復活の象徴とし、反転攻勢の旗印にしたい」と語った。

 ソニーは、2006年9月に発表した中期構造改革において、次世代テレビ事業は、有機ELに集中する方針を明らかにしている。

 会見に急きょ登壇した中鉢社長は、「最近のソニーは、優れた技術を持っているものの、それがソニーらしい製品につながらないと評される。今回の有機ELテレビは十余年にわたり、研究開発、製造、販売に関わる社員が、たすきリレーをして、製品化したもの。そのたすきを手渡す役割を果たした一人として、この製品を、技術のソニー復活の象徴としたい」と宣言した。

 一方、井原勝美副社長は、「短期的にみれば、液晶を置き換えるものではなく、引き続き、液晶テレビのビジネスに軸足を置いて開発していくことには変わらない。だが、次世代テレビとして、有機ELは大きなポテンシャルを秘めたデバイスであることは明らかで、今後は、大画面化とともに、薄さを生かしたテレビの新たな利用提案を進めていきたい」と、今後の方向性の一端を語る。

 XEL─1は、「ORGANIC PANEL(オーガニックパネル)」と命名した11インチの有機ELパネルを採用しており、薄さ3ミリ、重量は200グラムと、薄く軽い。

 ソニーの独自技術である「Super Top Emission」の採用により高開口率を実現。コントラスト比は100万:1以上となり、「測定器の限界を超えた」(同社)という。これまで公開された試作機では1024×600ドットのパネルを採用していたが、量産モデルでは960×540ドットとなっている。

 量販店での販売を主力とするが、ソニービルでの展示のほか、リッツ・カールトン東京のクラブラウンジ、JALの成田空港ファーストクラスラウンジ、レクサスギャラリー高輪でも展示する。「異業種の新規パートナーを増やして、体感、体験の場を増やしていく」(ソニーグローバルマーケティング部門長の鹿野清氏)と、新たな訴求方法にも取り組む方針だ。
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