店頭流通

東芝 100万円の液晶テレビ 「CELLレグザ」が市場に挑む

2010/01/21 18:45

週刊BCN 2010年01月18日vol.1317掲載

加藤泰治参事
 東芝(佐々木則夫社長)が2009年12月に発売した次世代液晶テレビ「CELLレグザ 55X1」。高性能プロセッサ「CELL」をはじめ、ダイナミックコントラスト比500万:1のLEDパネル、3TBのHDD、15基のチューナーを搭載し、過去約26時間分の番組を最大8チャンネル分録画できるというまさに規格外の製品だ。価格も100万円前後と非常に高価。この商品をどう売り込んでいるのか、店頭での取り組みをうかがった。

 東芝デジタルメディアネットワーク社の加藤泰治・映像マーケティング事業部 日本部販促担当参事は、CELLレグザについて、「景気がいい悪いに関係なく、東芝のもてる技術を満を持してすべて投入したもの」と語る。市場の反応については「非常に好評。売り上げも当初の予定を上回っている。値段はそれなりだが、いいものがほしいというお客様は確実にいる」と手ごたえを感じている。

 とはいえ、高額な商品なのは確か。そこで、店頭での展開にあたっては什器に工夫を凝らした。デモビデオは画質を訴求するもの、機能の説明をするものを連続して流すほか、展示のリモコンを「こわくて触れない」という人のため、特徴ある機能のデモを映せる、大きめのボタンを製品横に設置。「お客様に立ち止まってもらい、店員さんがいなくても見ていただける」ようにした。

 しかし、最終的には「高額商品なので接客しないとお客様も安心して買えない」と、什器と一緒に写真入りの冊子も用意。販売員が「お客様に噛み砕いて説明することで、納得して買っていただける」ように配慮している。

 そうした取り組みもあり、購入層は、当初予想していたオーディオ・ビジュアルのファンや富裕層だけでなく、「製品に感動してくださる一般の方」にまで広がっているという。「いいテレビを出して、感動を与えられるだけの魅力があれば、必ず買っていただける」との自信を得た。

 他のレグザシリーズへの波及効果もあるという。CELLレグザは買えないが、製品に魅力を感じたユーザーが普通のレグザを購入するケースが増えているのだ。加藤氏は「そもそも数が出る商品ではないが、商品単体ではなく、レグザ全体のブランド向上にもつながるのでは」と期待を寄せている。(山田五大)

「CELLレグザ 55X1」の店頭什器
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