このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(前編)では各社の販売戦略や体制を、(後編)では現場の奮闘ぶりを追う。
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柴田健太郎 映像マーケティング事業部 国内営業部部長 |
東芝は、2009年にデジタルメディアネットワーク社の映像事業組織を再編。製品ごとに分かれていた組織を見直し、10月にテレビとDVDの営業・マーケティングを統一する「映像マーケティング事業部」を新設した。
10年は、12月までの延長が決まったエコポイントや、6月のサッカーワールドカップ、7月にはアナログ波停止まで残り1年のカウントダウンに入るなど、薄型テレビのトピックが満載の年だ。当然、「旺盛な需要が期待される」(柴田健太郎・映像マーケティング事業部国内営業部部長)と、手ぐすねを引いている。
その起爆剤が、新組織による営業リソースの効率化だ。2月に発売したBDレコーダーと液晶テレビ「REGZA」のセット販売提案の強化など、「映像機器全体での相乗効果」(柴田部長)で、販売に弾みをつけていく。
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ビックカメラ有楽町店 本館1階のテレビ売り場 |
「REGZA」といえば、08年9月からCMに起用している福山雅治のイメージがすっかり定着し、販売に大きく貢献している。しかし、旧ブランド「face」からスイッチした06年当時はまだ認知が低く、苦労したという。店頭で「REGZA」の特徴である「あたかもその場にいるかのような臨場感ある映像表現」(柴田部長)を地道に訴え続け、販売店との二人三脚の取り組みが開花。同社の調べでは、福山雅治起用前の08年6月に53%だったブランドの認知度は、09年12月には80%に上昇。現在の好調に結びついている。
柴田部長には、思い出がある。「店頭でお客様に世界の紀行番組を見て頂いた時、『足が不自由なので旅行には行けないけれど、本当にその場に行けたような感覚を味わえた』と言っていただいたんです。今でも忘れられない」(柴田部長)。
営業の最前線を支える柴田部長は、「お客様目線に立ちながら、常に販売店さんに新しい提案を行い、Win-Winの関係を築いていくこと」を重要視している。(田沢理恵)
・(後編)に続く