店頭流通

デジカメ登場15年、変革の時 時代は「デジタルイメージング」へ

2010/03/11 16:51

週刊BCN 2010年03月08日vol.1324掲載


 これに対してソニーは、コンパクトデジカメ「サイバーショット」でフルハイビジョン(フルHD)の動画撮影など、ユーザーに新たな付加価値機能を提案している。フルHD動画対応機種は、薄型モデル「TX7」、光学10倍の高倍率ズームモデル「HX 5V」を発売した。2機種ともに、撮像素子には高感度・低ノイズを特徴とする独自開発の裏面照射CMOSセンサーを搭載。フルHD動画規格であるAVCHDで映像を記録することができる。

 ソニーの調査では、デジカメの動画機能について、画質や長時間記録の点でユーザーが不満をもっていることが判明。また、コンパクトデジカメ需要の79%と分析する「買い替え」を促進できるかどうかが、市場拡大とシェア向上のポイントになるとみている。このため、「新機種で不満を解消し、買い替え需要の喚起につなげたい」(下野裕・ソニーマーケティングコンスーマーAVマーケティング部門デジタルイメージングマーケティング部統括部長)考えだ。さらに、フルHD動画という付加価値で、価格下落の激しいコンデジの単価アップを狙う。

ソニーのコンパクトデジカメ「Cyber-shot DSC-TX7」

 こうした製品戦略と同時に、独自の無線技術機能を、もう一つの新しい付加価値の柱にする。それが、「TX7」と「HX5V」に搭載した近接無線技術「TransferJet(トランスファージェット)」だ。「TransferJetは、ユーザーが面倒だと思っている画像の保存を解決する技術。フルHDと同様に新しい価値として認めてもらえる」と下野統括部長は強調。店頭でも、フルHDの動画と無線技術をアピールする展示を行っていく計画だ。

 メーカーシェアの上位争いに加わりたい富士フイルムは、撮影後の画像の検索や表示機能が簡単にできるコンパクトデジカメで他社との差異化を図る。同社は、高画素とメモリカードの大容量化が進み、ユーザーが画像をパソコンに保存せず、メモリカードに記録したままでいることに着目。「見たい写真がどこにあるかわからない『画像漂流時代』に入っている。この不便を解決することが、新たな需要につながる」(小島正彦・コンシューマー営業本部ファインピックスグループ部長)とみている。

 こうした考えに基づいて投入する目玉機種が、「ファインピックス Z700EXR」だ。画像再生時にカメラを縦にすると、液晶ディスプレイ上面にプレビュー、下面にサムネイルの2画面で画像を表示する機能を搭載。タッチパネルで簡単に操作できるようにした。カメラの縦横に合わせて自動で画像を回転表示する機能や、人物だけでなく犬や猫などのペットの顔も検出する機能なども盛り込んだ。

富士フイルムのコンパクトデジカメ「FINEPIX Z700EXR」

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