このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(前編)では各社の販売戦略や体制を、(後編)では現場の奮闘ぶりを追う。

立松聖司
ソニーマーケティング
統括課長
 1979年にステレオカセットプレーヤーとして誕生した「ウォークマン」。以降、CDやMDなどでも展開し、ソニーを代表する製品の一つに成長した。しかし、携帯オーディオ市場がデジタルミュージックプレーヤー(DMP)にシフトすると、アップルのiPodが席巻。巻き返しを狙うソニーは、DMPのウォークマンで08年度に若年層をターゲットにした販売戦略を打ち出した。当初は18~22歳だった対象年齢も、09年度には15歳にまで拡大した。

 「DMPのユーザーは中高生にまで広がっており、最初に手にするDMPがウォークマンになれば、ファンの獲得と買い替えにつながる」(立松聖司・ソニーマーケティングパーソナルAVマーケティング部パーソナルミュージックエンタテインメントMK課統括課長)のが狙いだ。若年層獲得の切り札が、曲の再生に合わせて歌詞を表示する機能を搭載するSシリーズ。独自調査で10代が歌詞に愛着をもち、重視していることから歌詞機能を採用した。

 若年層ユーザーの購入は親が子供に買い与える形になる。そこで、Sシリーズでは「親に買ってもらうための説得材料」(同)として、再生のスピードコントロールなどの語学学習機能も盛り込んだ。店頭ではモニタに歌詞表示のデモを大画面で見せて機能をアピール。店頭スタッフが語学機能を一緒に説明し、購入につなげている。

 現在、ウォークマンはSシリーズをはじめ高性能モデルなど5シリーズを展開する。全機種を通じてアピールをしようとしているのが「iPodにはない音の良さ」(同)だ。ウォークマンには機種によってノイズキャンセリングなど、ソニーが培ってきた高いオーディオ技術が盛り込まれている。

 これまで店頭では、付属のヘッドホンで実際に音楽などを試聴させ、音質を確かめてもらう展示が一般的だったが、「これで十分とはいえない」(同)と感じており、ウォークマンの音の良さを「体感」ではなく、どう「実感」してもらうかに取り組んでいるところだ。(米山淳)