店頭流通

ヤマダ電機の山田昇会長に聞く中国戦略 「日本の家電量販店は今、最高の出店好機」

2011/08/01 18:45

週刊BCN 2011年08月08日vol.1394掲載


 ――手間がかかるのは、なぜですか。

 山田
 1ポイント1元で何にでも使えるポイントと、現金値引きのどちらも選べるといった、日本と同様のシステムを中国でも提供しているのですが、ゼロから説明しながら会員を増やしていかなければならないからです。しかし、手間をかけた甲斐があって、会員を増やせば売り上げが増えていく流れができました。都市型店舗では、これがキモになります。

中国では珍しいポイントカードに入会しようと多くの人でごった返す(写真は「天津本店」)

 ――日本式の接客や店舗のオペレーションの評判はいかがでしょうか。

 山田
 社員教育をしっかりしてきましたから、オペレーションに違和感はありません。さらに、買っていただいたお客様に一件一件電話して「ご不便はございませんか」と尋ねています。日本よりCSに経費をかけている。だから、お客様の評判は非常にいいです。また、アフターフォローによって情報収集にもつながっています。

 ――逆に日本と最も大きく違うのはどんな点ですか。

 山田
 販促の仕方ですね。日本であれば、店の規模と撒くチラシの数で、ある程度の効果を計算することができる。中国では、まず折り込み広告が自由に打てない。地域によっても違いますが、新聞は宅配がごく一部でほとんどが店売り。テレビCMも含め、費用対効果を勘案しながら最適化を目指して調整している最中です。

接客について徹底的に教育を受けている(写真は「瀋陽店」)

同業者はどんどん中国に出るべき

 ――そもそも、いつごろ中国出店を決意されたのですか。

 山田
 4年前の2007年です。持続的成長というのは企業の使命だと思います。しかし、少子高齢化が進む日本市場では、人口が減って国力が衰えていきます。それに、政治もこれといった手を打たない。これでは日本での成長に限りがあると思ったわけです。一方、中国はこれからGDP世界第1位になろうとしている国です。インドネシアやベトナムも将来的な選択肢としてはあるかもしれませんが、中国をさしおいて、ほかの国ということはあり得ません。アジアのなかでの中国の位置づけは非常に大きい。日本のメーカーはほとんど中国に進出していますから、サプライチェーンを考えても有利です。

 ――ほかの日本の家電量販店も、中国市場に打って出ようとするところもあるかと思います。

 山田
 「今がチャンスだ」といいたいですね。のんびりしていると遅れをとってしまうかもしれません。中国は、年率10%以上伸びている魅力的な市場です。加えて、法的整備が進んで出店しやすい環境が整いつつあります。まさに、今が一番いいタイミングです。3~4年前ではできなかった独資でのビジネスもできるようになりました。

 ――むしろ出るべきだと。

 山田
 中国は、まだ30~40年前の日本と同じで、未成熟なマーケット。現在の日本で当たり前に実践していることをやれば、十分戦っていけます。日本の家電流通業は、世界でも最先端を走っています。「お客様第一」の目線は強い。どこに行っても通用します。ただ、立ち上がるまでに時間がかかりますから、資金力はどうしても必要になりますが、とくに都市型店舗でノウハウのあるカメラ量販店などは、出るチャンスなのではないかと思います。成功すると思いますよ。

 ――独資での出店は、中国では何かと困難がつきまとうと聞きます。

 山田
 われわれの場合、市の誘致で出店しています。中国側が日本の店舗を視察したうえで、「こんな店が自分たちの市にも欲しい」と、お誘いがかかる。物件も斡旋していただきました。実は瀋陽店の物件も今回の天津の物件も、われわれが新たに建てたわけではないんです。

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外部リンク

ヤマダ電機=http://www.yamada-denki.jp/