これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「GNEX・三上洋一郎社長」を取材しました。
若い力が働いた
小学生の頃、祖父母が経営する商店の店先に立たせてもらった。ちょっとした小遣い稼ぎだったが「その頃からお金の流れを観察するのが楽しかった」。それがビジネスの原風景となっている。
2013年、弱冠15歳でGNEXを起業。その後、まだ認知が広がっていなかったウェブプッシュサービスに目をつけ、主力とする「Push 7」の提供を16年に開始した。新しい技術を敏感に取り入れられたのは「若い力が働いたから」。当時主流だったアプリケーションからのプッシュ通知に対して、コスト面などでメリットが出せると分析し、チャンスをつかんだ。
これまでは「失敗とチャレンジの連続だった」としつつも、「かつては思い描くだけだったビジネスプランも、収益を挙げられるようになった今では、実現できる」と力を込める。
マルチな経営にデジタルを生かす
強みは「個人事業主などIT業界の外にも人脈を持っていること」だ。そうした人々との交流は刺激となる一方で、ITの強みを再確認させてくれる。自身も美容鍼灸サロンなどマルチな経営を手掛けるが、中核とするGNEXがIT企業だからこそ、デジタル技術によるマーケティングの最適化などで優位性を出せる。
GNEXのソリューションを提案する際には、その技術を活用した店舗経営を実践していることから、普段ITには疎遠な事業主にも説得力を出せる。その意味で、世の中の隅々までITの価値を届けられるポジションに立てている。
視座を一段高くする
経営者の役割は「従業員がやるべきことをやれば売り上げが出るような仕組みを作ること」とする。最適化したオペレーションを整備しておけば、従業員が果たすべき役割が明確になり、やる気の向上にもつながる。
今後の目標は、「視座を一段高くする」。自社の利益追求だけではなく、中小企業のDX化支援などを通して、社会にインパクトを起こせるビジネスを思い描き、挑戦を続ける。
プロフィール
三上洋一郎
1998年生まれ。2011年4月にWebサービスの開発などを行う学生組織「GNEX」を立ち上げる。13年3月にGNEXを設立し、代表取締役に就任。現在、自動車領域や美容領域などグループ5社で複数事業を経営する。
会社紹介
アプリ無しでPCやスマートフォンにプッシュ通知を送れるウェブプッシュ通知サービス「Push7」など、デジタルマーケティング支援事業を展開する。そのほか、ウェブ・ソリューションの開発や、スマートフォン向けのアプリケーション開発を展開する。