これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「CrossBorder・小笠原羽恭代表取締役CEO」を取材しました。
営業は「顧客に感謝されるべき」
「世の中に役立つ価値を届ける営業は、顧客から感謝されるべきだ」
しかし、実態はどうか。見込みがあるかもわからない相手に電話をかけ続け、営業担当はひたすら断られて自信をなくし、顧客側も不必要な電話応対にへきえきしてしまう。非効率な営業手法は、誰も幸せしない。
自社のソリューションは、データを基に、売りたいサービスに興味を持っているとみられる顧客をリスト化する。これで「100件電話をかけて、1件でも商談のアポが取れればいいほう」といった事態は減らせ、顧客は望むサービスを見つける機会が増える。営業と顧客のウィンウィンな関係に近づける。
エンジニアとコンサルの経験が強みに
父親がエンジニアだったことから、昔からプロダクトを作ることへの関心が強く、自身もエンジニアの道に進んだ。「周囲からはいつか起業しそうと言われていた」が、それは「エンジニア時代から、どうやって作るかだけではなく、何を作るかを考えることが好きだったからだろう」と振り返る。その後、大手コンサルティングファームに転職し、より顧客に近いところで、自分に足りていないと感じていたビジネスの仕組みを学んだ。
自身の強みは「エンジニア的な思考でセールスの仕組みを考えられること」だ。顧客のニーズが分かったとき、「どうやって作り込みビジネスとして実現できるかまでイメージできる」。この強みがビジネスにスピードと正確さを与えている。
夢物語では終わらせない
自身のビジネスにおけるキーワードは「既存の枠組みを超える」。課題に直面した際、「今やっていることは、そもそも必要なプロセスなのか」と常に問い続けることで、事業に革新を起こす。「夢物語と思われそうな挑戦でも、常識にとらわれずにあらゆる面から障害を取り除いていく」。そうすれば、単なるプロセスの効率化ではなく、まったく新しい仕組みを見つけられ、思い描いたビジネスを実現できる。
将来は「社会課題の解決に挑戦する人をテクノロジーの力で後押ししたい」。挑戦する人が困難を乗り越えられる社会を目指し、自身も挑み続ける。
プロフィール
小笠原羽恭
1994年生まれ。新卒で野村総合研究所に入社し、システム開発や新規事業開発などに従事。その後、ベイカレント・コンサルティングを経て、2021年にCrossBorderを設立。
会社紹介
500万社以上の企業のデータベースから取得した情報をもとに、自社とマッチした営業のターゲットリストを作成する「Sales Marker」の開発、提供を行う。