これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「シフトメーション・能塚正基代表取締役」を取材しました。
開業医の父に経営者として憧れ
開業医としてクリニックを営む父を見て育った。目の前の患者に向き合うだけでなく、社会全体に影響を与える経営者としての姿に憧れた。福岡で起業するが、当初手掛けた受託開発などの事業が本当にやりたいことなのか迷いを持つ中、実家のクリニックで経営改善を手伝うことに。「保険点数を『Excel』に手入力するなど、事務処理のアナログさに驚いた」と振り返る。
この経験から、経営者として社会に貢献するために人生をかけてやる仕事として、医療業界をテクノロジーの力で支えることを目指し、東京で再スタートを決めた。
シフト作成を数秒で行い現場を支援
医療機関や介護施設では、スタッフの勤務シフト作成が毎月行われる。それぞれ資格や技術の習熟度が異なる点も考慮しながら、責任者が約30人のシフト作成に毎月20~30時間かけている状況だった。ここを改善することが現場の負担軽減になると考えた。
自社のソリューションは、エッセンシャルワーカーなどフルタイム専門職のシフト作成に対応できる点が強みで、個人の属性や休みの希望を入力すればAIによって数秒でシフトが完成する。「絶対毎月発生するけれど、本来業務ではない部分をダイナミックに改善できる」と意義を語る。
顧客と自社の成功が一致するビジネス
国内で働く約3000万人のエッセンシャルワーカーのすべてが自社のソリューションを使い、業務効率化と生産性向上を実現する未来を描く。経営者として目指すのは、目の前の成長に飛びつくのではなく、長期的に顧客に価値を提供し、その結果として自社事業が伸びることだ。「お客様の成功とわれわれの成功が一致するビジネス上の構造づくりを一番に考えている」
シフトの自動作成を入り口に、シフトに含まれる人事情報やデータを基にした経営改善まで支援を広げたい。社会のために役立つ仕事に全力で挑み続ける。
プロフィール
能塚正基
1985年福岡県出身。東京大学法学部卒。2008年NTTドコモに入社。ドコモショップの店舗統括、マーケティング戦略の立案などを担当。ビービットに転職し、UI/UX改善のコンサルタントを経験。15年シフトメーション創業。
会社紹介
AIが勤務シフトを自動で作成する「Shiftmation」を提供。夜勤・早番・遅番などの複数シフト、個人の能力別による適正人員配置などにも対応し、医療機関や介護施設を中心に、保育園、小売業など幅広い業界で導入されている。