これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「overflow・鈴木裕斗代表取締役/CEO」を取材しました。
エンジニアの副業紹介に特化
「後世に残る偉大な会社をつくる」という志のもと、事業の中身は決めずに会社を立ち上げた。金融、仮想通貨などの事業で試行錯誤する中、それまでのサービスはすべて業務委託の副業メンバーだけで立ち上げていたことに気づいた。
エンジニアは、コロナ禍を契機に副業する人が多くなっていた。既存の転職エージェントなどはあくまで正規雇用にフォーカスする例が多く、「エンジニアの副業に特化すれば独自性を出せる」と人材マッチングサービスを事業化した。
「働く主権」が企業から個人へ
労働人口が減少する中、人を採用できない企業は事業を継続できない。給与などの条件以上に、働く場所や時間を選べ、多様なライフスタイルに対応することが求められている。働くことの主権、選択権が、企業から個人へ完全に移ったと感じた。
IT人材はどの企業でも不足しており需要は大きい。自社サービスは、エンジニアのスキルセットを把握することで面接回数を減らし採用までの時間を短縮、企業と個人の双方にミスマッチのない紹介が可能なのが特徴だ。副業を経て、気に入れば正社員になるケースもある。登録者数は順調に伸びており、「働き方の自由度の高さが支持されている」
何よりも価値があるのは時間
目指すのは、誰もが自由に働き方を選べる人材循環型社会だ。テレワークが普及し、働く時間はこれからどんどん細切れになっていくとみる。能力のある人は、数時間単位で違う企業のプロジェクトを掛け持ちすることも可能になる。
今後はお金の相対的な価値が下がり、時間をいかに生み出せるかが重要になってくると展望する。自分の働き方を選び、時間の使い方を選べる人生。2人の娘の父親として子どもを迎えに行ったり、一緒にスポーツをしたりする時「使いたいように時間を選択できるのが幸せ」だと感じる。時間の価値を多くの人に届けられるよう、これからも新しいプロダクトをつくり続けていく。
プロフィール
鈴木裕斗
1986年、神奈川県出身。青山学院大学理工学部卒。2009年サイバーエージェントに入社、インターネット広告の営業を経験。iemoに移り、共同代表COOとしてメディア事業を担当。iemoがディー・エヌ・エーに買収され、ディー・エヌ・エーで広告営業部門を統括。17年、overflowを創業。
会社紹介
エンジニアを中心としたプロダクト開発人材に特化したダイレクトリクルーティングサービス「Offers」を提供。副業や転職をしたい個人と、IT人材を採用したい企業をマッチングしている。企業の開発組織の生産性最大化を支援するSaaS「Offers MGR」も展開する。