これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「ゼノクリース・齋藤智樹CEO」を取材しました。
きっかけは塾講師のアルバイト
学生時代に塾講師や家庭教師のアルバイトをしたことがきっかけで、教育業界に強い関心を持つようになった。大学での専攻は数理科学で、コンピューターに慣れ親しんでいたこともあり、「ITと教育を掛け合わせて何か新しいビジネスができないか」と考え、IT会社のゼノクリースを起業。その後も社長業と掛け持ちで塾講師の仕事を続けた。
都合7年余り続けた教育業界での仕事経験をもとに、2025年3月には高校生向けにYouTube上でのオンライン講座「ハイスクールPython」を本格スタートさせる。「情報|」が高校の必修科目となり、大学入学共通テストの科目に加わったことを受け、生徒や教員向けに役立つコンテンツとして90分の本編動画計11本を順次公開していく予定だ。
教育や中小企業、地域に焦点
ITが社会の隅々まで浸透した今、「ITと何かを掛け合わせることが価値創出につながる」と話す。例えばITと地域産業、ITと中小企業など「IT×○○を広げられるだけ広げられる会社にしていく」と、ITと業種・業態を掛け合わせる手法に大きな成長への可能性を見出す。
足元では、中堅・中小企業に向けたローコード開発の「kintone」や営業支援の「Salesforce」の活用、セキュリティー管理などのITコンサルティングの売り上げが多くを占めるが、自社の特色をより色濃く打ち出していくという意味でも、掛け合わせのビジネスの意義は大きい。
規模を拡大させ、独自商材を増やす
東日本大震災のときは中学2年生だった。「故郷の福島県郡山市内にも避難者が多数押し寄せたのを覚えている」という。その後は放射性物質の除染作業が行われるなど心理的に大きな影響を受けた。都内でゼノクリースを起業した後も、定期的に郡山に足を運んで地域産業の活性化に向けたITビジネスを手がける。
「ゼノクリースの関わる領域や規模をどんどん広げるとともに、自分たちだけの独自のサービスやプロダクトも増やしていきたい」と夢を語る。
プロフィール
齋藤智樹
1996年、福島県生まれ。2020年、慶應義塾大学理工学部卒業。21年、ゼノクリースを起業。CEOに就任。
会社紹介
中堅・中小企業向けITサービスやIT教育コンテンツを開発している。2025年3月にはマーケティング会社のグローススタートなどと協業して、高校生向けのYouTube上でのオンライン講座「ハイスクールPython」のサービスを始める予定。