これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回はミライのゲンバ・佐藤哲太代表取締役社長」を取材しました。
自分にしかできないこと
大手鉄鋼メーカーの製鉄所で生産管理を担当していた時、データを集めて分析、仮説を立てて製造工程の効率化プロジェクトに取り組んだ。ただ、作業員の業務経過は全て紙に記入されており、データを「Excel」に入力する作業に毎日忙殺されていた。
その後、転職し、データをAIで活用する事業の立ち上げに参画。時流にも合いうまく進捗していたが、「私がやるべきことなのか」としっくり来なかった。自分にしかできないことは何だろうと考える中、製造業にAIを取り入れ現場に物理的な変革を起こすために、実態を知る自分の経験が生かせると思い至った。
紙の使い勝手を追求
開発で心掛けたのは、紙に記入するのと変わらない使い勝手にすること。ツールを使うのはITに不慣れな現場作業員だ。軍手をはめて作業の合間に入力する。タブレットに指やペンで記入すると自動でデータ化され、紙帳票を即デジタル化できる。
現場で当たり前に記録されている紙がなくなり、誰もが検索できるデータベースができれば、世の中のあらゆる工場の生産管理者が、効率化という前向きな仕事に時間を割けるようになる。紙の良さをデジタルで実現することで、「現場で働く全ての人に使ってもらえる」ことを目指している。
誠意を尽くす
自社のツールが浸透すれば、工場の実績データが取れる。それを活用して工場の運営そのものをAIで自動化し、現場に指示を出すスケジュール作成もAIが担う未来を見通す。「製造現場の知的活動をまるごと自動化したい」
会社の指針として「ゲンバ十訓」を掲げ、その中でも特に意識しているのは、誠意を尽くすこと。共に成長を目指す社員や、自社のソリューションを導入してくれた企業に対し誠実でいれば、縁がつながるとの実感がある。
「新しい未来の現場を日本中に広げたい」。それが製造業の存在感を高めることにつながると信じている。
プロフィール
佐藤哲太
1991年生まれ、東京都出身。東京理科大学卒業。2014年、日本製鉄に入社し、製鉄所で生産管理を担当。19年、ソフトバンクに転職し、社内起業制度でAIデータプラットフォーム事業を立ち上げる。23年、ミライのゲンバを創業。
会社紹介
製造現場の記録・確認・管理の紙作業をそのままデジタル化し、データ活用まで一気通貫で支援するAI電子帳票「ミライのゲンバ帳票」を提供。数十人から数万人まで幅広い規模の企業が導入している。