これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Facilo・市川 紘代表取締役CEO」を取材しました。
伴走する人間の役割が重要
「“家”はその人の生き方の根幹に関わるものであり、人生を象徴するもの」である。一方で、その売買を支える不動産仲介業者は忙しすぎると感じる。商談の段階が違う顧客を、場合によっては何十人と抱えながらコミュニケーションをとらなければならない。自社の技術で業務効率化を支援し、もっと顧客と向き合えるように後押ししたい。
不動産仲介の仕事は属人的とも言えるが、「顧客が納得する選択」をするためには、システムやAIだけではなく、伴走する人間の役割が重要だと考えている。「不動産売買に関して、顧客は必ずしも正解を求めているわけではない」といい、カウンセラーのように顧客の考え方や生き方を受け止め、意思決定に寄り添う存在が必要だ。
時間が一番の資源
コアな業務に向き合うための時間をいかに捻出するかを重視している。顧客に対してだけではなく、自社の従業員に対しても「才能を発揮してもらうための一番の資源は時間だ」と考えている。
社員には、社内向けの「PowerPoint」資料の作成や定例会議の原則禁止を徹底しており、「会議に関しては年末に大掃除して見直している」。代わりに経営戦略を共有する機会を確保しており、「未来に向けた情報発信に力を入れている」。社員がそれぞれ経営層と同じ視点を持って同じ方向を目指してほしいからだ。
100点を付けられる家を目指して
社名は「進行役(Facilitator)」を由来として「Facilo」と名付けた。不動産営業とエンドユーザーとの間のやり取りを円滑にし、不動産売買に関する顧客体験を改善したいという思いは、創業から一貫している。
「前職で勤務していた米国と比較して、国内では一人あたりの住み替えの頻度が少ないと感じる」。ライフステージに合わせて選択する住居に関しては、「妥協すべきではない」。より良い選択肢を追求し、「100点を付けられる家を目指して、住み替えてほしい」。この営みを支える不動産仲介業者をサポートすることこそ自社の使命であり、「顧客の人生に深く関わるアドバイザー」として活躍できるように背中を押し続ける。
プロフィール
市川 紘
リクルートに入社後、SUUMO事業で新規事業開発部長などに従事。2016年に不動産テックの米Movoto(モボト)のCFOに就任。21年にFaciloを創業。
会社紹介
不動産仲介業者向けに情報やコミュニケーションチャネルを一元化するクラウド製品「Facilo」を開発・提供する。「物件購入クラウド」「物件売却クラウド」「賃貸クラウド」「事業用クラウド」をラインアップする。