これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「GROWTH VERSE・南野充則代表取締役会長兼CTO」を取材しました。
学年180番から東大へ
中学、高校ではバスケットボールに打ち込んだ。奈良の進学校である西大和学園で、一番厳しいコーチがいる部活を選んだ。「やるなら勝ちたい」。勉強よりも部活中心の生活を送った。
高校2年の冬に部活を引退した後、東京大学への進学を目指した。その時の学年順位は360人中180番台。模試もE判定だった。それでも学年上位の同級生に勉強法を聞き込み、参考書や時間配分まで徹底的に調べた。「勉強以外のことはしない」と決め、毎日の時間割を組んだ。学年5位まで順位を伸ばし、東京大学へ現役で合格した。
祖父が教えてくれたこと
経営者になりたいと思った原点は祖父だった。京都でカステラの製造・販売を営み、社員旅行や飲み会に従業員を連れていく。幼い目には、その姿が格好よく映った。祖父はよく「仲間を集めるなら東京へ行け」と話した。どれだけ大きな夢を描いても、一人では実現できない。人が集まる場所に行き、優秀な仲間を集めろという教えだった。
その言葉もあり、東京大学へ進んだ。在学中に2社起業した後、ヘルステックベンチャーのFiNCに参画した。CTOとして開発を率いた後はCEOに就任。経営再建を託され、巨額の赤字を抱える会社で事業やコストを見直し、約3年かけて黒字化を実現した。
AIで会社を変える
AIとの出会いは大学時代にさかのぼる。研究テーマはエネルギーの最適化。再生可能エネルギーと蓄電池の組み合わせをシミュレーションし、最も効率的な運用を探った。北京大学で開かれたスマートグリッド分野における国際学会では、「BEST STUDENT AWARD」を受賞した。
最適な組み合わせを探る視点。GROWTH VERSEでは、会長兼CTOとして「営業以外ほぼすべてを見ている」。M&AやAI戦略、エンジニア組織の構築などを担い、買収した企業の業務やシステムを自ら理解しながら、AIエージェントを組み込んで変革を進める。
「AIに詳しい事業家」と話し、世界の最前線で戦う経営者を目指す。その現在地を聞くと、「ちょっと遅延している。急がないと」。そう笑った。
プロフィール
南野充則
1989年生まれ、大阪府出身。東京大学工学部卒業。在学中に起業し、2018年にFiNC Technologies代表取締役CTO、20年に同CEOに就任。24年にGROWTH VERSE代表取締役CTO、25年から代表取締役会長兼CTO。日本ディープラーニング協会理事。
会社紹介
マーケティング向け「AIMSTAR」、人流分析の「ミセシル」、売上管理の「Zero」、電話業務向け「DHK CANVAS」のAIエージェントを展開。M&Aでグループ化した企業のデータやノウハウを活用し、企業の成長を支援している。