これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「UnlimiTech・中川高之代表取締役CEO」を取材しました。
企業を診る仕事へ
幼いころから祖父に可愛がられてきた。「会いに行くたびに博物館に連れて行ってくれた」。そんな祖父が病気で苦しむ姿を見て、「世の中から病気をなくしたい」と考えるようになった。
「人の命ほど尊いものはない」。医療に関わる分野で社会貢献がしたかったが、血を見るのが苦手。そんな自分が、病気と向き合うために何ができるのかを考え、化学の力で人を救う薬学部に進学した。
しかし大学で研究を続ける中で、成果が社会に届くまでに何十年もかかる現実を知る。「もっと短いサイクルで社会に貢献したい」と、製薬会社の案件も抱えているコンサルティング会社に就職したが、「実際にはIT系の案件が多かった」
知恵を継ぐAI
「GAFAのような会社も、元はスタートアップだった」。社会人として経験を積む中で、経済の基盤をつくっているのは伝統的な企業だけではないことを実感した。キャリアの中に「起業」の選択肢が浮かんだのはこの時だ。経営に携わっていた祖父の姿も印象に残っている。イメージをすぐにかたちにできる生成AIの登場を機に、起業を決断した。
さまざまな企業を支援した経験から、業務フローの個別性が高い製造業の課題解決にやりがいを感じた。現在は、人手不足や熟練者のスキル継承問題に対し、データフローAIによる自動化やワークフロー実装といった処方箋を提示する。
現場から離れない経営
経営者となった今も、大切にしているのは「現場目線」だ。その原点には、工場で働く人たちの声に耳を傾けながら組織をまとめていた祖父の姿がある。自らの会社でも、工場勤務経験者や製造業の知見を持つ人材を積極的に採用し、実務に根差したサービス開発を進める。
「会社が大きくなっても、現場の声を直接聞き続けたい」。自身も顧客を持ち続けることをポリシーに掲げる。経営判断の精度は、現場との距離で決まる。祖父が大切にした姿勢が、経営の根底に息づいている。
プロフィール
中川高之
1987年生まれ、仙台市出身。東京大学大学院薬学研究科修士課程修了。アビームコンサルティングで「SAP S/4HANA」などの基幹業務システム構築を経験。A.T.カーニー、ALGO ARTISを経て、2025年3月にUnlimiTechを設立。
会社紹介
製造業向けAIワークフローツール「DataFlow AI」を開発・提供。チャットで指示することで業務フローを設計・実行する。導入に向けたコンサルティングから実装・開発、トレーニング・伴走支援までを手掛ける