その他
小規模自治体の苦悩 大手は相手にしない?
2002/04/01 15:00
週刊BCN 2002年04月01日vol.935掲載
全国3223の地方自治体のうち、人口5万人以下の自治体は全体の60%を超えている。総務省の調査では、2001年12月時点で合併を検討している市町村は2026に達するという。とくに合併の機運が高いのは群馬県、山梨県、石川県、岐阜県、滋賀県、和歌山県、広島県、山口県、大分県、佐賀県、熊本県など。このような自治体で、業務の電子化に向けた取り組みが危ぶまれている。NEC、富士通、日立製作所などの自治体関連市場に強い大手ITメーカーがこの市場には手を出さず、その結果、事業が後回しにされるのである。その原因の1つは財政難。小規模自治体に傾斜配分する地方交付税交付金の割り増し措置(段階補正)の見直しにともなって、02年度から前年度に比べ配分額が減少する。これにともなう影響をやわらげるため、3年掛かりで削減し、地方の財政運営に支障のないよう国は配慮するというが、自治体の反発は強い。
例えば北海道。人口5万人以下の自治体は道内212市町村のうち196市町村ある。実に全体の92%を占める。多くは財政難に苦しんでおり、地方交付税交付金の減額処置で新事業の実現はむずかしくなる。調査会社ガートナーのほか、ぎょうせい総合研究所、価値総合研究所(旧長銀総研コンサルティング)の3者でつくる電子自治体共同研究会が01年12月に行った調査では、電子申請システムや電子情報公開システム、電子調達・入札システムなどの導入状況をポイント化した「電子自治体取り組み状況」で、人口20万人以上の自治体の平均得点62.4ポイントに対し、5万人以上では54.8ポイントとなるなど、規模の格差が広がっている。富士通ソリューション事業本部の伊藤大挙本部長代理は、電子自治体市場の展望について、「都道府県単位では02年後半から03年半ばが山となるだろう。市町村単位では03年から04年に市場が本格化するのではないか」とみている。
財政難で台所事情は厳しく、しかもIT化の推進役がいない地方の小規模自治体は、ビジネスチャンスの市場となりにくい。ほかに市場がある大手が見送る構えをみせるのは当然といえる。同社は、電子政府市場への傾注で注目され、秋草直之社長が「売り上げの半分を電子政府でやる」と言うほど、この市場に熱を入れている企業である。中央省庁のみならず、自治体市場へのアプローチも怠りない。今年3月20日には、新たな自治体向けソリューション体系「InterCommunity21(インターコミュニテイ21)」も発表した。これまで同社が提供してきた30種1000本の自治体向けソリューション製品をバックエンドシステムとして集大成し、フロントエンドを構成するソリューションとして「インターコミュニティ21」を提供していくという。
同社ソリューション事業本部e-Japanソリューション事業部e-Japanソリューション推進室の岡田富士雄室長は言う。「ターゲットは人口5万人以上だ」。では、5万人以下の自治体はどうなのか。大手が手をつけない市場は、中・小のシステムインテグレータが手掛けることになる。ただ、あるシステムインテグレータは反発を込めてこう言う。「大手が中央省庁や県の市場を牛耳っている。地方自治体に入り込む隙はあるが、財政的にある程度余裕があり、取り組みにも前向きな自治体は大手がさらってしまう。小規模自治体はターゲットではない、という言い方は我々を馬鹿にした物言いではないだろうか」それでも、一部のシステムインテグレータは積極的に取り組んでいる。
アイエックス・ナレッジ、アルゴ21、ウッドランド、情報技術開発、アイ・ビー・ティの5社で設立した小規模自治体の電子化を促進するCDCソリューションズは、全国各地にデータセンターを設置し、周辺自治体が共同で利用できる環境を整えようとしている。アルゴ21の大岡正明社長は、「20万人以上の自治体でできることと5万人以下の自治体でできることは明らかに違う」とし、さまざまな工夫を凝らしながら、小規模自治体に特化する形で市場開拓を進めていくという。
小規模自治体およびこの市場をターゲットとするシステムインテグレータの苦悩は続く。(谷古宇浩司●取材/文)
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