その他
変化するシステムダウン対策 リカバリからリスタートへ
2002/07/22 15:00
週刊BCN 2002年07月22日vol.950掲載
いかに短時間で復旧させるか
企業情報システムの考え方が大きく変化している。話題になっている「ディザスタリカバリ(災害復旧)」の考え方をさらに進めた「ディザスタリスタート」という考え方が米国を中心に広がりつつあるからだ。ミッションクリティカルの世界において、24時間365日の安定稼働を維持するためには、バックアップやディザスタリカバリの考え方では、すでに対応できないとの指摘も出ている。
●24時間365日の安定稼働を
企業の情報システムが24時間365日の安定稼働を求められて久しい。
それは金融、通信といった社会インフラを司る基幹産業や、時差を利用して24時間稼働するグローバル企業だけにとどまらない。
BtoB、BtoCを問わず、インターネットでコマースを行っている企業に代表される流通、製造といった一般企業にまで広がろうとしている。
こうしたミッションクリティカルシステムの安定稼働を根底で支えるのがディザスタリカバリ(障害復旧)という考え方である。
しかし、米国での調査によると、何かしらの災害やトラブルがあった場合に、すぐにシステムを復旧させ、サービスを再開できる企業はわずか10%強にとどまっている。
それに比べ、システム復旧まで24時間程度、あるいはそれ以上かかると回答した企業が合わせて70%以上に達している。
システムダウンが、収益の減少や信頼性の失墜につながるのは、多くの調査レポートからも明らかだ。
例えば、電力などのエネルギー産業の場合、1時間のシステムダウンで受ける影響は日本円で3億円以上に達するとの試算もある。
●システムを止めないこと
現在、米国企業のCIO(情報統括責任者)や情報システム部門に求められているのは、災害時に復旧させることができるシステムをいかに構築するかではなく、いかに短時間にシステムを復旧できるか、さらには影響を受けてもシステムを止めないでいられるか――という点だ。
昨年9月11日の米同時多発テロ事件以降は、その傾向がさらに強まったといえるだろう。
ストレージ最大手のEMCでは、こうした流れを捉えて、ディザスタリカバリから、ビジネスコンティニュイティへ、そしてオールウェイズ・オン・ビジネスという定義を始めた。別の言い方では、「ディザスタリスタート」ともいう。
EMCでは、データ・ミラーリング・ソリューションであるSRDF(シンメトリックス・リモート・データ・ファシリティ)の提供によって、ミッションクリティカルシステムの連続安定稼働を実現している。
9月11日の災害でも、SRDFの効果は大きな評価を得ており、これらのソリューション提供により、「ディザスタリスタート」の環境を実現しようとしているのだ。
こうした動きは、コンピュータメーカーやネットワーク機器ベンダーの間でも共通の取り組みになろうとしている。
バックアップという認識は、もはや古い。それはダウンタイムを考慮しない考え方だからだ。
そして、ディザスタリカバリに関しても、短時間に復旧するという考え方にとどまっている。
「もし、あなたがヤフーの管理者だったら、サービスを6時間止められますか」――。
ヤフーだけにとどまらない。企業の根幹を支えている多くの情報システム部門の管理者がこうした危機感を抱き始めているのだ。(大河原克行●取材/文)
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