その他
様変わりする電気街 サブカルチャーに活路を
2002/07/29 15:00
週刊BCN 2002年07月29日vol.951掲載
ヨドバシカメラやヤマダ電機に対抗するには、彼らが手を出さない領域に踏み込むことだ。これまでグッドウィル、九十九電機、ソフマップ、T・ZONE.など、電気街パソコン専門店はパソコン本体から離れ、自作パソコンや中古パソコン、美少女ゲームに活路を見出してきた。だが、ここへきて、もう一歩進んだ対抗策が立ち上がろうとしている。自作パソコンや美少女ゲームは、ハードやパッケージの小売りに過ぎない。そうではなくて、電気街独自のコンテンツを創り出す考え方が急速に広がりつつある。
名古屋の電気街・大須(おおす)で店を構えるグッドウィルの月城朗社長は、「大須発のコンテンツを創る」と宣言。全国でも有数の規模を誇る美少女ゲーム専門館や自作パソコン売り場を開設、さらに本店につくったライブホールで、連日のようにジャズやアコーステック、ソウル、サルサなど、ざまざまなジャンルのライブを開催している。このほか、「女性スタッフが浴衣でお出迎え」から始まり、夏休みの時期に合わせた3D映画まで上映する力の入れようだ。美少女ゲーム専門館では、ゲームキャラクターの題材ともなっている女優のサイン会を定期的に開く。ライブホールのコンテンツにせよ、美少女ゲームの女優サイン会にせよ、好きな人には垂涎ものの催し物。今年5月、大須のすぐ隣に進出したヤマダ電機にはない独自のコンテンツである。
秋葉原でも同様の動きが見られる。T・ZONE.は7月19日、美少女コスプレ喫茶「メアリーズ」を開店。横山隆俊社長は、「アキバ発のサブカルチャーを狙う」と意気込む。パソコンのパーツやパッケージソフトの販売と異なり、生身のコスプレ美少女そのものがコンテンツ。これまでとは一線を画す新しい業態だ。月城社長の「コンテンツ」と横山社長の「サブカルチャー」。言葉は違うものの、電気街発の独自コンテンツを創るという点で共通している。横山社長は、「亜流のサブカルチャーが主流のカルチャーになると、われわれ専門店は途端に商売ができなくなる。パソコンでも、オタク中心のサブカルチャーだった時は、専門店の強みを生かせた。しかし今やパソコンは社会生活に不可欠なカルチャーに育ってしまった。パソコンはわれわれの手を離れ、ヨドバシやヤマダの手に渡ったと考えるべき。かろうじて自作パソコンがまだサブカルチャーの領域に残っている程度」と話す。
この意味で、美少女コスプレ喫茶や一夜のライブ演奏は、社会的な主流文化に対する対抗文化である点で、サブカルチャーの真ん中に位置する。「美少女ソフト、コスプレ、フィギュア(人形)などの市場規模を合わせると、全国で年間1000億円規模になり、自作パソコン市場とほぼ同等になる」(横山社長)と、サブカルチャー市場の攻略に強い意欲を示す。小売店である以上、最終的には商品の販売に結びつけなければならない。だが、それ以前に、客足そのものが電気街から遠ざかっている点が問題だ。この夏商戦、6月の月間パソコン本体の販売は台数ベースで前年同月の62・5%、金額ベースで同67・5%(BCNランキング)と、目を覆いたくなる低い数値。専門店がパソコンだけで集客するのは、ますます困難な状況にある。電気街ならではのサブカルチャー・コンテンツを武器に、ヨドバシやヤマダがつかめない客層を、本腰を入れて吸収する取り組みに期待したい。(安藤章司●取材・文)
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