その他
プロバイダの合従連衡加速 主役は光ファイバー
2002/08/05 15:00
週刊BCN 2002年08月05日vol.952掲載
電子情報技術産業協会(JEITA)は、今年度第1四半期(4―6月期)の国内パソコン出荷台数が前年同期比13%減だったと発表した。内訳は、法人向けパソコンが同16%減、個人向けパソコンが同9%減。この数字から、法人向けの落ち込みの方が大きいように見えるが、実際は個人の方が深刻だ。
JEITA幹部は、「個人向けの9%減はあくまでも出荷ベース。実売は30%近く落ちている」と推測する。BCNランキングの第1四半期(4―6月期)の統計では、前年同期比で台数が28.1%減、金額が26.4%減だった。JEITA幹部の推計に近い数値だ。メーカー関係者は、「出荷と実売の差がこれだけあると、流通在庫が相当たまっている可能性が高い」と語る。パソコン本体がこれだけ低迷すると、周辺機器やサーバー、接続プロバイダなど、パソコンを基盤にする商材やサービスは、どれも悪影響を受ける。
ネットワーク機器メーカーのコレガ・石津清樹常務は、「今は無線LANが全体をけん引し、年率25%成長という強気の事業計画を立てている。だが、次の商材が見えない」と危機感を顕わにする。日本IBM・システム製品IAサーバー &PWS事業部の岩井淳文事業部長は、「サーバーにぶら下がるクライアントパソコンの伸び率が鈍れば、これらを管理するサーバーの負荷が少なくなり、サーバーに対する設備投資が減る」と話す。
パソコンの数が減れば、プロバイダの経営も苦しくなる。国内最大のニフティでさえも、売却や上場の噂が後を絶たない。ほかの中堅プロバイダは厳しくなる一方だ。打開策はなにか。コレガの石津常務は、「各家庭に来る光ファイバーに期待したい。光ファイバーの普及期に対応する新製品をタイミングよく出す」と、次のビジネスのヤマ場は”光ファイバー“だと断言。
IBMの岩井事業部長も、「ADSLの帯域拡大や光ファイバー普及で通信量が増えれば、サーバー本体だけでなく、コンテンツを蓄積するストレージ(記憶装置)も売れる」と期待を高める。ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)の山本泉二社長は、「ADSLの帯域拡大や光ファイバーの本格的普及など、変化要因が大きい。今後も積極的に投資していく。攻める姿勢に変わりはない」と、今年度も赤字覚悟で攻めの経営を続ける。
希望はある――。ここにきて各家庭に光ファイバーを敷設する構想が急速に現実味を帯びてきた。NTT東日本・西日本に対抗すべく、来年4月に東京通信ネットワーク(TTNet)と合併予定のパワードコムが、インターネットイニシアティブ(IIJ)との経営統合交渉を進めると発表。パワードコムに続けとばかりに、三菱電機系の中堅プロバイダ、ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)も同陣営に加わることを決めた。
パワードコムが本格的に立ち上がれば、NTTも本腰を入れざるを得ない。政府のe―Japan計画では、「2005年までに低廉な料金の光ファイバーを1000万世帯、ADSLなど高速回線を3000万世帯に敷設する」という目標を掲げている。これに向けて、NTTと電力系がようやく具体的な競争関係を作り始めた。不振に苦しむIT産業の活路は、やはり光ファイバー・ブロードバンド(BB)にある。両者の対等な競争関係を早急につくりあげ、BB構築に邁進して欲しい。(安藤章司●取材・文)
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