その他
ウィンドウズかLinuxか “安全なOS”の議論を
2002/12/09 15:00
週刊BCN 2002年12月09日vol.969掲載
オープンなプラットフォームを基本にすると、必然的にLinuxなどUNIX系のOSになる。マイクロソフトのOSを基幹システムに使うなど、想像しにくい――。中国の大手システムプロバイダ、ニューソフト(東軟集団)の劉積仁会長兼CEOは言い放つ。
政府や重要機関の基幹系システムを支えるプラットフォームでウィンドウズなどクローズなOSを敬遠する動きが、中国だけでなく欧米でも出始めている。日本では、自民党政務調査会e-Japan重点計画特命委員会が、政府に対してオープンソースOSの調査を要請。これら内外の一連の動きを受けて、総務省では「セキュアOSに関する調査研究」の題目で、来年度(2003年度)に5000万円の予算を要求した。
オープンソースOSとは、中核部分のソースコード(OSの基本内容)を公開したOSのことを指す。Linuxはすべてのソースを公開し、GPL(ゼネラル・パブリック・ライセンス)の使用条件のもと、無償でソースを改変したり、独自に開発したソフトを組み合わせることができる。
マイクロソフトの反応は敏感だ。まず、e-Japan計画に賛同し、電子政府・電子自治体におけるウィンドウズの浸透を推進すると宣言したうえで、(1)ソースコードの一部は、当社の定める規定に基づき、政府、大学、企業、システム構築事業者などと個別の契約を結んだ上で公開する、(2)オープンソースは必ずしもセキュア(安全)ではない、(3)ウィンドウズは、各種の標準規格でセキュアだと認定されている――と主張する。
これに対して、オープンソースに詳しい、ネットワーク応用通信研究所の井上浩社長は、「ソースコードを公開しても、ユーザーがソースを蕫改良﨟できなければ意味がない。OSが本当にセキュアかどうかは、ソースコードを見ないと分からない。不具合があればすぐに修正する作業を繰り返すことで、OSはセキュアになる。ウィンドウズの不具合を見つけても、それを修正するかしないかはマイクロソフトが決めることで、われわれユーザーは決められない。それが安全と言えるだろうか」と反論する。
ウィンドウズの独占に対する反発もある。サン・マイクロシステムズの石原直樹・アイフォース推進統括部ディベロッパーリレーションズテクニカルマーケティングスペシャリストは、「固有のOS、固有のアプリケーションに依存し過ぎて、もし不具合や価格の暴騰が起こったらどうするつもりだ」と付け加える。
大手システムプロバイダ、NTTデータの牧野兼明・電子自治体ビジネス推進部長は、「ウィンドウズのブラックボックスの中に蕫誰も知らない仕掛け﨟があるのかもしれないし、ないかもしれない。一方、即座にオープンソースが安全だとも言えない。もっとも、これまでの中央省庁の動きを見ると、セキュリティの部分は国内で完結させたいという意向が強いのは確か。当社の方針はまだ決めておらず、顧客次第というところ」と語る。
総務省では、「今は何となく『オープンソースがいい』という雰囲気になっているが、来年度の『セキュアOSに関する調査研究』では、まずこの部分の論点整理をする。そのうえで、Linuxやウィンドウズの長所短所を明確にして報告書としてまとめる。政府としてはまだ何も判断していない」と慎重な姿勢を崩さない。だが、Linux本格採用に向けたきっかけ﨟になる可能性もあるだけに、成り行きを注視すべきだろう。(安藤章司)
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