12月18日、NECフィールディングは中期経営計画を発表した。今後3年間、年率7％ずつ売上高を伸ばしていくという。この数字は、調査会社が発表した業界平均成長率の5.8％を上回る。アナリストからは「これだけ高い成長率を維持できるのか。実現は難しいのではないか」との質問も飛んだ。NECフィールディングの鳥居高志社長は、「確かにITサービス市場全体の伸び率については、成長率を下方修正する予測となっている。しかし、当社のターゲット市場であるシステム導入後のサポート、サービス分野を見ると、予測もそれほど大きく落ち込んでいるわけではない。7％成長は実現できる」と強気の見通しを示している。（三浦優子●取材／文）

NECフィールディングの中期経営計画

■ソリューション事業を中心に

　一時は高い成長が続くとされてきたITサービス市場だが、経済環境悪化と歩調をあわせるように、伸び率の鈍化など不調が目立つようになってきた。

　しかし、NECフィールディングの中期経営計画では、「2004年度まで年率7％成長を維持する」と明言した。ITサービス市場全体は、データクエストの「日本のITサービス市場」予測で5.8％成長。この数字は、従来の予測伸び率に比べ下方修正されている。市場環境が冷え込んだことを受けての下方修正である。

　NECフィールディングは、保守事業をプロアクティブ・メンテナンス事業、運用・アウトソーシング、インストレーションなどフィールディング・ソリューション事業の2つに分類している。

　「プロアクティブ・メンテナンス事業については売り上げは横這いであり、先端技術を利用した収益重視に切り替えていく必要がある。だが、フィールディング・ソリューション事業ではまだ成長が見込める」（鳥居社長）と、フィールディング・ソリューション事業を中心とした戦略で売り上げ伸張を続けていくとの計画を立てる。

　富田克一取締役常務は、「フィールディング・ソリューション事業の中で、アウトソーシングとホスティング事業は今後も成長が見込める分野。楽観的な見通しで7％成長という目標を掲げているわけではない」と、7％成長に疑問を投げかけるアナリストに反論する。

　さらに、「ソフト保守はこれまでミドルウェア部分までしか対応してこなかったが、技術力をアップし、アプリケーション領域まで手がけていくことでプラス要因がある。また、伸びないとされるハード保守についても、これまで通りであれば伸びないのは当たり前だが、24時間保守、ハイアベイラビリティといった付加価値の高いサービスを提供していくことで、従来よりも高い料金設定が見込める」と、決してマイナス要因ばかりでないことを強くアピールした。

■NECグループ外の顧客獲得がカギ

　NECフィールディングでは、サービス事業もビジネススタイルによって、保守契約、ヘルプデスク、サプライサービスなどのストック型と、インストレーション、システムアップグレードといったスポット契約中心のフロー型の2つに分類し、「当社のビジネスモデルはストック型を基盤とし、安定成長できるベースがある」として、フロー型ビジネスは営業力強化による拡販、ストック型は顧客満足度を高めてリピートユーザーを増やす方針だ。

　同社の場合、NEC関連ビジネスが多いだけに、売り上げが安定する基盤はもっている。だが、7％成長のカギはNECグループ外の顧客、とくに安定した収益を得られるストック型のビジネスでNECグループ以外の顧客をどれだけ増やしていくことができるかにかかっている。

　「これまで文化の壁があり、外資系が参入できない市場といわれてきたサービス市場にも、外資系が参入し始めた」（鳥居社長）時期だけに、今回の中期計画で7％成長を維持していくことができるのか、NECフィールディングの真価が問われていく。