その他
福岡発、高度IT人材の育成を開始 情報発信拠点として国際連携も
2003/03/17 15:00
週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載
地域活性化で産官学が期待
福岡発のNPO(特定非営利活動法人)「高度IT人材アカデミー(AIP)」が3月5日、本格的な活動を開始した。AIPは、高度なIT人材の輩出が目的。福岡県では、地域活性化や情報発信拠点として国際連携の強化につなげる。初年度は約10億円の投資を計画。そのうち、総務省から2002年度補正予算で4億5000万円の補助金を受けた。高度情報通信社会に必要となるスキルを、実践的、経験的に身に付けた国際的に通用するIT人材を戦略的に育成するNPOとして、産・官・学ともに多大な期待を寄せる。(佐相彰彦●取材/文)
■IT人材の不足が背景に
AIP設立の背景は、ITを駆使できる高度な技術者や、自治体および事業のIT調達・活用に関わる意思決定を下す人材などが不足しているためだ。
特に、IT先進県を目指す福岡県では、福岡市や北九州市など県内9市を光ファイバーによるブロードバンド(高速・大容量)回線で接続し、プロバイダーと一般企業に無料で開放する「ふくおかギガビットハイウェイ」を構築したものの、企業から「人材育成の場が少ない」という声も挙がっていた。
麻生渡・福岡県知事は、「地域ネットワークインフラの構築は重要だが、高度な技術者がいなければ先に進まない。国内では、数百人程度しかいないのでは」とし、「高度な人材を輩出することで福岡県がグローバルに展開することが重要だ」と語る。
AIPでは、最高位技術者と、ビジネスサイドで業務やサービスへの戦略IT活用を推進する戦略情報企画者を育成することが主な事業となる。
具体的には、ITシステムの構築や運用の中核「基幹エキスパート技術者」、オープンなシステムの設計やプロジェクト管理を行う「ソリューションエキスパート技術者」、プロジェクトのマネジメントやプロセス改革を推進する「ビジネスマネジャ」などを育成する研修を実施。4月から受講の申込みを受け付け、5月に「基幹エキスパート技術者」講座、7月に全講座のサービスを始める予定。初年度は200-300人の育成を予定しており、今後5年間で約3000人の育成を計画している。
■地元有力企業と外資企業が協力
協賛企業は、麻生塾、九州電力、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズ、日本オラクル、日本キャップジェミニ・アーンストアンドヤングの6社。地元の有力企業と外資系IT企業が協力した形だ。理事長にはサン・マイクロシステムズの本田敬吉顧問、副理事長には須藤修・東京大学大学院情報学環教授、理事には協賛企業各社の幹部がそれぞれ就任した。
麻生知事は、「外資系企業の技術者は非常にレベルが高い。その技術レベルを蓄積できれば、福岡県の強みになる」と強調する。
また、AIPでは総務省の「高度IT人材育成センター開設設立事業」により4億5000万円の補助金を受けた。同省では、「公平性や効率性、困難性の3点を重要な審査対象とし、高度IT人材アカデミーに補助金の交付を決定した」(山本敏正・情報通信政策局情報通信利用促進課推進係長)としており、高度なIT人材を育成するという定量的な結果が出ることに期待しているという。
AIPの本田理事長は、「この補助金で、大規模な国家プロジェクトとなる。国際的なIT人材の育成と、地域活性化にもつなげる」と意気込む。
単なる技術力向上にとどまらず、新しいビジネスを発掘するための研修は全国でも前例がない試み。
産・官・学が多大な期待を寄せる取り組みとして、国際的に通用するIT人材の育成に注目が集まっている。ITを軸にした新たなプロジェクトとして、今後の成り行きを見守りたい。
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