その他
Linux、エンタープライズ領域へ
2003/03/24 15:00
週刊BCN 2003年03月24日vol.983掲載
電子政府での採用が追い風
「政府がLinuxと口にするだけで、非常に大きなインパクトがある」――。日本アイ・ビー・エム(日本IBM)でサーバー製品事業を担当する橋本孝之取締役は、電子政府でLinuxの採用を検討するというニュースが流れることのインパクトを、こう表現する。同社では3月19日付で汎用機「zシリーズ」に、最小構成価格が3700万円からと、同社のオリジナルOS「z OS」の搭載機に比べ大幅に低価格となるモデルを追加した。zシリーズは通常はオープン価格で、z OS搭載機の価格も明らかにしてないが、Linux専用機はおよそこの半分程度の価格になっている模様だ。
これだけ低価格製品を発売するのは、「今年こそLinuxがエンタープライズビジネスに導入されていく年となる」と見ているからだ。しかも、これは感覚的なものではなく、「金融機関で、昨年からLinuxのテストを開始し、今年は本格導入を始めるといった実例がある」といった裏付けもある。そうした事例を後押しする意味で、「政府のLinux採用というのは悪い動きではない」と橋本取締役は分析する。同社の官公庁向けビジネスは、国産メーカーに比べ決して強くはない。が、民間ビジネスへの影響という点で、政府のLinux採用はプラスだという。
これは、ソフトメーカーにとっても同様である。今年から、Linux対応製品の日本での販売を開始したベリタスソフトウェアでは、「米国では昨年からLinux対応製品の販売を始めている。日本はそれに遅れた格好になるが、日本のミッションクリティカル分野でのLinux導入はこれから本格的にスタートする。今、Linux対応製品を発売するのは、非常に良いタイミングだ」(木村裕之・ベリタスソフトウェア社長)と強調する。同社でも、Linuxを巡る最近の状況として電子政府でのLinux採用を挙げ、「これはビジネスにもプラス効果があるニュース」と話す。どうやら電子政府のLinux採用は、Linux陣営にとって格好の宣伝材料となっているようだ。
米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が来日し、日本政府にウィンドウズの採用を訴えたのも、Linuxを巡る動きを見ていると無理もないところだ。政府がウィンドウズを採用することのビジネス価値だけでなく、民間企業ユーザーにとっても少なからぬ影響を与えている。マイクロソフトとしても、政府市場を押さえるだけでなく、電子政府に積極的に取り組んでいく姿勢を見せることで、「マイクロソフトはLinuxには負けない」というアピールを、民間企業ユーザー向けに行うことにつながっていく。
しかし、Linuxがミッションクリティカル分野に採用され始めたといっても、ビジネス面から見れば、まだ未整備な部分が多いことも事実だ。日本IBMの橋本取締役は、直販だけでなく、パートナーを通してLinuxを販売していくために、「ソリューションの移行も必要だし、システムの検証も必要。システムについては、例えばこの規模のシステムにはこの程度のスペックのマシンが必要というモデルさえ定まっていない」と、手離れよくビジネスができる環境がまだまだ整っていないと指摘する。2003年、大手企業がミッションクリティカル分野でLinuxを採用する動きが進展することで、徐々にビジネスモデルができあがっていくことになるだろう。販社としては、どのタイミングでLinuxに取り組んでいくべきかのか。真剣に検討が迫られている。(三浦優子)
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