その他
電波法改正と無線LAN 免許制から登録制へ
2003/06/02 15:00
週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載
総務省が、無線利用の登録制度への移行に向け動き出している。無線LAN(構内通信網)の一部周波数帯をはじめ、1つの電波を複数の事業者などが共有する無線電波全般の利用について、従来は免許を取得しなければならなかったが、これを登録制に移行しようと、電波法の改正案を練っているのだ。特に、無線LANの5GHz周波数帯で実施されている免許制を登録制に移行することで、無線電波を受発信する基地局を、事業者が自由に設置できるようにして、無線LANの利用エリアを広げたい考え。これにより、事業者のビジネス展開促進につなげようという狙いだ。
現在、無線LANとして広く普及している2.4GHz帯を利用した「IEEE 802.11b」などは、免許を取得する必要がなく利用できるが、より高速な5GHz帯の無線LANを屋外利用する場合は、事業者が免許を取得する必要がある。これを、免許なしでも事業が行えるようにする。利用可能な周波数帯域と地域を公開し、総務省が定めた一定の基準さえ満たしていれば、基本的に届け出(登録)のみで、事業を開始できる。また、使用する機器に関しても、免許が必要となる基準を設定し直す。
現状は、出力10ミリワット以上の無線機器は免許の取得が必要だが、これを10ミリワット以上の機器でも、届け出のみで使えるようにする。ただし、他の無線機器との干渉を回避する機能を備えていることなど、いくつかの条件を盛り込む。総務省の豊嶋基暢・総合通信基盤局電波部電波政策課課長補佐は、「電波のひっ迫状況がいま非常に深刻な問題だが、このひっ迫度は、都市部と地方では大きく異なる。免許を受けている無線サービスの電波影響がない地域では、免許なしでも無線LANなどのサービスを展開できるよう開放する。今後、電波の再配分を行うにあたっては、地域ごとに実情に応じた対応が望ましいと判断した」と話す。
また、今年度の電波法の改正にともない、「電波の利用状況調査・公表制度」が導入された。これにより、国民に電波の利用状況を公表することが義務づけられた。それに加えて、総務省地方総合通信局が、管轄区域ごとに調査、電波の割り当てを行うことになった。豊嶋課長補佐は、「地域の実情に合わせた割り当てを行うことが重要な課題になったことも、登録制移行への取り組みに拍車をかけた」と説明する。
しかし、これまでの免許制度からの移行基準や、ルール作りには「正直、まだまだ詰めるべき課題はたくさんある」(豊嶋課長補佐)という。総務省では、混信が発生した場合や参入制限を行う場合の判断基準、登録の審査基準、さらには万一のトラブルのための対応策を、「電波有効利用政策研究会」および「電波の多重利用の推進方策に関する部会」を組織し、議論を重ねている最中だ。すでに、「電波の多重利用の推進方策に関する部会」を5月中に2回開催。「6月中旬までに詳細を詰めていく」(豊嶋課長補佐)予定だ。次期通常国会に電波法の改正を提出し、早ければ来年秋からの導入が始まる。免許制から登録制への移行が決まれば、事業者側、利用者側ともにメリットが大きく、ユビキタス社会に向けた大きな一歩を踏み出せることになるだろう。注目が高まる。(木村剛士)
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