その他
アプリケーションサーバー情勢
2003/09/08 15:00
週刊BCN 2003年09月08日vol.1005掲載
「ウェブロジック」、またも標的に
国内で今年登場した各ベンダーのアプリケーションサーバー(AS)新版は、J2EE準拠が標準となり、複数システムを接続する基盤製品へと役割が変貌した。単にアプリケーション動作を担うミドルウェアから脱皮したこの市場は、ソフトベンダーの「主戦場」になりつつある。8月下旬、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は「ウェブスフィア」新版の発表で、日本BEAシステムズの「ウェブロジック」から日本IBM製への「移行支援サービス」を開始することを明らかにした。日本IBMの山下昌夫・WebSphere事業部長は、「既存のウェブロジックをすべて当社製に移行する」とまで言い放つ。
日本オラクルが5月、ASの新版「9i」を発表した際にも、同じくウェブロジックからの「乗り換えキャンペーン」を実施したのは記憶に新しい。大手2社の相次ぐ蕫ウェブロジック潰し﨟に対し、当の日本BEAは、「当社のASは、多くの国内大手企業に採用され、不具合などは一切聞かない」(伊藤敬・チーフテクニカルストラテジスト)と、安定稼動中の同社ASを他社製に乗り換える必然性は薄いと牽制する。日本BEAと協業関係にあるNECは、「ウェブロジックは大企業の基幹系に導入されるケースが多い。日進月歩のJ2EE技術の進展に長期的に(BEAが)対応できるのも一因だ」(今峰健司・ミドルウェア事業部シニアマネージャ)と、過去の業績をあげて評価。乗り換えキャンペーンの影響は少ないと見る。
国内のAS市場のシェアは各種調査機関によって数字がまちまちだが、おおむね、トップの日本IBMに対して日本BEAと富士通が僅差で追いかける展開で、若干離れて日本オラクルなどが上位を伺う様相だ。この争奪戦のもう1つ重要な要素は、各ベンダーが中小・中堅(SMB)市場に向けた廉価版を用意した点だ。
この路線を最も色濃く出しているのが日本IBM。6月に技術検証の「WebSphereイノベーションセンター」を設立。AS市場で日本IBMに歩み寄る大塚商会は、「大手企業向け拡販はIBMの本体がやり、それ以外(中堅企業)を当社が担当する」(丸山義夫・マーケティング本部テクニカル販売促進部EIPグループシニアコンサルタント)と、SMB市場のシェア確保に自信を示す。日本IBMは、「IBMとBEAは、オープンスタンダード路線で激烈な開発競争をしてきた。むしろBEAが先行する中、日本ではシステムインテグレータなどパートナーからウェブスフィアを高く評価してもらった」(伊藤かつら・ソフトウェア事業部プロジェクト推進部長)と、性能やパートナー戦略などの条件整備を終え、「勝負は決しつつある」(同)と強調する。
一方、富士通は7月、ASの新版「インターステージ」を販売し、「トランザクション数は他社製を上回り、新規顧客の獲得も順調」(児玉浩・Interstageコンサルティング部プロジェクト部長)と、外資系ベンダーの争いから一歩身を引く。J2EE準拠のASは、「性能面で大差がなくなりつつある」(大手システム販社)というのが一般的な見方。その意味でパートナー戦略は差別化で重要性を増す。日本BEAと富士通は今後、SMB市場に向けたパートナー戦略を再構築する予定。来年以降はオラクルもグリッド技術を強化した新版を出す。AS市場の主導権争いはさらに混沌としそうだ。谷畑良胤●取材/文
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