その他
パソコンとバンドルソフト
2003/10/13 15:00
週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載
選択で差別化を図れ
バンドルソフトでの差別化が図れない――。パソコンメーカーが抱えている共通の悩みではないだろうか。ソフトをインストールしていないBTO(受注生産)方式や自作パソコンの台頭で、あらかじめソフトがバンドルされているメーカーパソコンが岐路に立たされている。NECパーソナルプロダクツの木下克己・PC事業本部マーケティング本部事業戦略部マネージャーは、「『必要ないソフトが多すぎる』というユーザーの意見があるのは事実」と打ち明ける。ある大手パソコンショップ店長も、「『マイクロソフトオフィス』を除いて、バンドルされているソフトの中身をチェックするパソコン購入者はほとんどいない」と語る。
NECが店頭で購入したユーザーを対象に行った調査によると、「『オフィス』のみがバンドルされていれば良い」と答えた人は、約半分を占めているという。ウイルス対策ソフトでいえば、バンドルソフトを利用しているユーザーは26・2%なのに対し、他のソフトを別途購入しているユーザーは43・7%にも上る。ソフトをあらかじめインストールしていることに、ユーザーが必ずしもメリットを感じているわけではなさそうだ。そこで、NECでは5月から新たな取り組みを始めた。同じジャンルで複数のソフトをバンドルし、ユーザーにソフトを選んでもらうという方法だ。たとえば、ウイルス対策ソフトではシマンテック、トレンドマイクロといった複数ベンダーのソフトをバンドルし、ユーザーは好きなソフトを選んでインストールできる。「まだ始めて半年だが、ユーザーの反応は良く、購入者の約80%が満足と答えている」(木下マネージャー)という。
一方、ソフトベンダー各社がバンドル提供を重要視する姿勢は変わらない。「店頭販売の売り上げが減少しているなか、メーカー製品へのバンドルは、ユーザーの拡大にとって重要なルート」と口を揃える。コンシューマ市場に約3年ぶりに復帰した日本ネットワークアソシエイツ(NAC)の加藤孝博社長は、「コンシューマ向けビジネスを再開するうえで、まず重視したことはメーカーパソコンへのバンドル」と断言する。NACは発売日の10月1日前にNECと松下電器産業製パソコンへのバンドル提供を発表した。「2社以外にも、メーカー数社へのバンドルを発表できる」と、バンドル戦略に拍車をかける。
また、駅経路探索ソフト「駅すぱあと」を開発・販売するヴァル研究所でも、バンドルに力を入れており、NECやソニーなど4社のパソコンにバンドル提供している。太田信夫・営業部営業チームリーダーは、「約3年前から店頭販売は下降状態。そんななか、パソコンへのバンドルは訴求効果が高く、ブランド力もつく」と語る。ウイルス対策や駅経路探索ソフトなどは、蕫買ったら終わり﨟ではなく、更新料が発生するため長期的なビジネスにつながる。「たとえ安い価格でバンドル提供したとしても、更新のための母体になる」(加藤・NAC社長)わけだ。同じジャンルのソフトを複数バンドルするという攻め方は、メーカーパソコンの閉塞感を打ち破るきっかけにもなろう。だが一方で、ソフトメーカーにとっては、いくらバンドル提供しても、ユーザーが自社製品を選んでくれなければ、実質的な顧客にはなり得ない。販売本数と実利用数にかい離が生じるわけで、その差を的確に把握しておかないと、収益の読みを誤ることにもなる。 木村剛士●取材/文
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