その他
パソコンとデジタル家電
2003/11/03 15:00
週刊BCN 2003年11月03日vol.1013掲載
市場の覇権は誰の手に
ここ数年、話題になりながらも実態が伴わなかったデジタル家電だが、薄型テレビ、ハードディスク付きDVDレコーダーといった商品が登場。ようやく実態をもったデジタル家電市場が形成されつつある。特に年末商戦は、ソニーがハードディスク付きDVDレコーダー「PSX」を投入。市場は大きく広がりそうだ。ハードディスク付きDVDレコーダーについては、松下電器産業、東芝、パイオニアが先行。ソニーとしては、PSXを投入しても、他社をキャッチアップできなければ後がない厳しい状況にある。
10月28日に開催されたソニーの経営戦略説明会では、「(デジタル家電事業は)ソニーグループの総力戦で戦う」(久夛良木健副社長)という発言があった。ソニーの意気込みは半端ではない。これに対し、松下電器産業の中村邦夫社長は、「PSXはゲーム機」と切り捨ている。いよいよデジタル家電での覇権を握るべく、メーカー間の熾烈な競争が始まったことを感じさせる。そんななか、パソコンがどう存在価値を示すのかという点でも注目される。
だが、どうもパソコン勢は分が悪い。ソニーは、「これまでのデジタル家電はパソコンをベースとしたものだった。しかし2005年、06年になると、逆にパソコンがデジタル家電のサブセットとなる」(久夛良木副社長)と立場の逆転を示唆する。同社では、デジタル家電事業はパソコンと一線を置く意向を示し、半導体などキーデバイスは自社製のものを使うという。他の家電メーカーも、半導体など内部で利用するデバイスは自社製を用いることにこだわり、そこで他社にない差別化を実現しようとしている。グローバルスタンダードが当たり前で、部品はどのメーカーのものでも共通なパソコンとは明らかに異なる戦略である。
パソコン側のデジタル家電へのアプローチとしては、10月15日にマイクロソフトが「ウィンドウズXP メディアセンターエディション 2004」を発表。日本では8社のハードメーカー対応製品を発売した。この新しいOSは、リビングでの利用を想定したもので、専用画面「メディセンター」を実装し、テレビ、音楽、デジタル写真、ビデオ、DVDなどを操作する機能が追加された。操作もリモコンで行えるので、パソコンらしさは全くない。 米マイクロソフトのバイスプレジデントである古川享氏は、「マイクロソフトはMS―DOS、ウィンドウズといったプラットフォームを提供し、パソコンのアプリケーションという新しいビジネスを立ち上げた。今回のメディアセンターエディション2004も新しいサービスを生むプラットフォームになる」と、新たなビジネスチャンスを生む製品だとアピールする。
だが、今のところ日本の家電メーカーの反応は冷ややかで、対応製品を発売したのはいずれもパソコンメーカーばかり。90年代はパソコン市場が大きく伸長し、家電メーカーからも大きな注目を浴びた。00年代に入り、家電メーカーとパソコン産業は異なる角度から、デジタルへアプローチしているようだ。米国ではデルがプラズマテレビ販売に乗り出すなど、新しい動きも出ており、パソコン、家電といった領域を超えた新しいプレイヤーが台頭する可能性さえある。取材する側とすれば、非情にわくわくする戦いが始まった。 三浦優子●取材/文
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