その他
丸紅ダイレクト事件
2003/11/24 15:00
週刊BCN 2003年11月24日vol.1016掲載
ネット販売に見る「信頼性」の重さ
丸紅ダイレクトが、通常は19万8000円で販売しているNEC製のパソコンを1桁間違った1万9800円の価格で表示し、注文があった1500台を1万9800円で販売することになった。この事件は、インターネット販売の怖さをよく表している。識者は「通常であれば、錯誤による契約無効を主張できる」としているが、丸紅側は1万9800円で販売するという決断をとった。この背景として、「今回の事件を起こしたのが丸紅という大企業でなければ、これほど騒ぎは大きくならなかったのではないか」とある関係者は指摘する。
トラブルを起こしたサイトが、丸紅という大企業であったからこそ、騒ぎが大きくなり、1万9800円という破格の値段で販売する事態になってしまった。これは、丸紅というブランドをもつ企業ゆえに起きたトラブルなのだ。インターネットの世界では、通常はあり得ない価格で商品が売られていることも少なくない。例えば、今回のように発売して間もないNEC製パソコンの価格が、通常とは1桁違った価格で売られていたとしても、「1台限定」という前提があれば、あり得ない話ではない。また、丸紅ダイレクトでは、自社オリジナルパソコンを3万円を切る価格で販売していた。「1桁違う価格なんてあり得ない」とは言い切れないのが、インターネットの世界である。
こうした「通常ではあり得ない」ことにリアリティを持たせるのが、販売するサイトの信頼性だ。インターネットショップにとって、企業として、ショップブランドとして信頼性を持つことが、ネットビジネス成功のカギの1つともなっている。実店舗と違い、実体がないバーチャルな世界で顧客を獲得するためには、ショップとしてのブランド、企業としての信頼という目に見えないものが大きな価値をもち、ショップ側は自社のアピールポイントだと説明してきた。
しかし、丸紅ダイレクトのトラブルでは、消費者側がこのブランド、信頼力を逆手にとって、「丸紅というブランドを信頼して、申し込んだのに」というクレームが殺到したという。インターネットショップを運営するサイトでは「信頼」がもつ怖さを改めて考え直す必要があるだろう。残念ながらインターネット利用者の中には、企業のミスを突き、騒ぎを大きくしていくことに喜びを感じているユーザーも少なくない。そうした点までも含めて、「企業として、ショップとしての信頼」のマイナス面をきちんと認識していくべきだろう。信頼のベースとしてやはり重要なのが、「誤った表記をしない」という当たり前のことを徹底する姿勢である。
誤った表記が即座に影響を及ぼすのが価格比較サイトである。価格比較サイト「パソconeco」を運営するベスタグの柴田健一社長は、「おかしな価格が表示されている場合にはこちらから注意を促すようにしている」としながらも、「100%完全なチェックは難しい」と話す。そのうえで、「とにかく販売店の皆さんには価格の間違いなどをしないことを徹底してもらうしかない」と話す。インターネットならではの強みをもった価格比較サイトだが、価格の間違いなどがあった場合には、その間違いが思わぬスピードで伝搬する。そうした点まで理解した上でネットショップサイトを運営する必要が販売店側には求められている。 三浦優子●取材/文
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