その他
家電業界の無線タグ実証実験
2003/12/15 15:00
週刊BCN 2003年12月15日vol.1019掲載
実用化への動きが加速
経済産業省の委託事業として、家電製品協会が主体となり、家電メーカーと家電量販店が来年2月からUHF(極超短波)帯の無線タグ実証実験に乗り出す。実証実験は、無線タグを貼付した家電機器を読み取る実験と、家電量販店舗の業務における活用モデルを検証する実験の2種類。参加企業は、読み取り実験で松下電器産業や東芝、ソニーなど11社を予定しており、量販店の活用モデル検証実験でデオデオとベスト電器の2社が参加を検討している。
UHF帯の周波数は、携帯電話などに割り当てられていたため、これまで無線タグでの利用が認められていなかった。しかし、総務省が今年8月、UHF帯域である950メガヘルツ帯周辺であれば周波数の割り当てを検討すると発表。実証実験に対し、来年1月末までに950メガヘルツ帯の無線タグ実験用無線免許を与えることになった。UHF帯は、最大8メートル程度の距離からの読み取りが可能であるほか、従来のマイクロ波帯(2・4ギガヘルツ帯)に比べて空気中の水分の影響を受けにくいなどの利点がある。
欧米では、UHF帯の無線タグを実用化している。経産省では、サプライチェーンマネジメント(SCM)やトレーサビリティなど企業間取引に活用する無線タグに関して国際標準化を目指しており、「日本が乗り遅れないように他国に先手を打ち、標準化に向けた動きを積極的に行っていくことが重要」(三村和也・経産省商務情報政策局情報経済課係長)と、国際標準という意味でも大きな第一歩となることに期待する。家電業界では、これまでにも何度か無線タグの実証実験を行ってきている。
今年1月末には、メーカーや物流会社などが参加し、物流面における無線タグの活用を検証する「商品情報無線タグの家電製品広域物流における効率化寄与の調査研究、実証」を行った。周波数が125キロヘルツ帯と13・56メガヘルツ帯、2・45ギガヘルツ帯の3種類の無線タグを使った実験だ。結果は、一定の条件を満たせば無線タグの実用が可能で、物流作業の時間が2分の1程度短縮できることがわかったという。
また、今年2月にはメーカー10社が参加し、2・45ギガヘルツ帯の無線タグを家電機器に貼付してデータを読み取る「商品情報無線タグ読み取り実証実験」を実施。この実験では、製品単体であれば60センチメートル以上離れていても読み取りが可能なことや、梱包時でもリモコンやケーブル、アダプターなどの付属品を入れなければ読み取れることがわかった。
しかし、実用化に向けての課題も残った。物流面での実証実験では、梱包品をパレットに積んだ場合、無線タグの貼付面を一定方向に統一しなければならないことや、フォークリフトなどで梱包商品を移動させながら読み取る場合、無線タグに書き込むデータの量が多ければ移動速度を極端に遅くしなければならず、業務効率化に適さないなどといった問題が浮上した。製品に無線タグを貼付した読み取り実験では、梱包時に遮断性が高い金属製の付属品を同梱した場合には読み取ることができなかった。
来年の実証実験は、UHF帯を活用するという点で日本で初めての試み。家電製品協会の山口勲・技術部長は、「来年実施する実証実験では、これまでの成果と課題を踏まえて取り組んでいく」と実用化を見据えて問題解決に臨む。実証実験の結果次第で、流通分野での無線タグ実用化に向けた動きが加速されることになるだろう。 佐相彰彦●取材/文
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