その他
2004年のIT業界 明るさの兆候見える
2004/01/05 15:00
週刊BCN 2004年01月05日vol.1021掲載
2004年、IT業界は明るい兆しで新年を迎えた。デジタル家電やブロードバンド、モバイルなど、ユビキタスを具現化する本格的な利活用需要が拡大。個人のIT利用が社会生活全般において急速に広がる様相を呈している。ITは、もはやパソコンをはじめとするコンピュータの世界だけの閉じたものではなくなった。政府の「e―Japan戦略Ⅱ」は蕫IT利活用﨟を強調しており、ビジネスだけでなく個人の生活の中にもITがより深く浸透していく時代の到来といえそうだ。その時代に飛躍する条件は、高い技術力や顧客志向、そして時代の変化に的確に対処できる企業の適応力だ。
変化に強い企業にチャンス
パソコン需要が一巡してからの数年間、IT業界は「脱パソコン」「脱ハードウェア」を掲げて、苦境を脱しようと構造改革を進めてきた。そして、デジタル家電をはじめとする幅広い需要の拡大を受けて、日本のIT業界は、ネットバブルの崩壊から3年間の停滞を経て、ようやく明るい兆しが見えてきた。
IT業界は、オフコン時代からここまで、ブロードバンド、広帯域モバイルなど、数年ごとに大きな変化を経験。その節目ごとにより高度な技術を求められるという点で、企業の適応能力が試されている。
NECの金杉明信社長は、「一般消費者レベルからITの浸透が進んでおり、良い兆候が見え始めている」と、本格的な需要回復に期待を高める。IT利活用が拡大していけば、消費者にITサービスを提供している企業にチャンスが訪れ、投資活動が活発になるという考え方である。e-Japan戦略Ⅱにおいては利活用の促進が掲げられており、今年から、これまでにない勢いで利活用の本格時代に突入すると見られる。
大塚商会の大塚裕司社長は、「顧客企業に儲けてもらう仕組みを提供しない限り、当社の成長はあり得ない。明るい兆しが見え始めており、今年は、これまでにも増して顧客の目線でシステムを組み上げ、信頼を得ることが大切」と指摘する。
従来の先行型IT投資から、需要拡大による追加型IT投資へと移行している現在、「利益につながらないIT投資」は市場から消えていく。
日本オフィス・システム(NOS)の尾嵩社長は、「イノベーションを打ち出せる企業が真に強い企業だ。“ERP(総合基幹業務システム)に強い”、“オープンに強い”など特定分野の能力に特化してはダメ。そうではなく、市場動向に合わせて“特定の強い部分=新機軸”を次々と創り出せる企業こそが強いITベンダーとして生き残る」と話す。
変化適応に加えて、もう1つ大きな課題がある。それは、ソフトウェア開発の国際競争力の向上である。
大興電子通信の牧野誠毅社長は、「競争力を高めるため、現在、国内に約200社ある協力会社などの発注先を半分以下に絞り、中国での開発体制を拡充する」と、ソフトの生産体制を抜本的に見直す。逆の見方をすれば、ソフト会社は、開発に携わる“人材のアップグレード”をしなければ生き残れない。
激しい国際競争のなかで、国際分業をいかに確立するかが課題だ。国内ソフト開発の人材アップグレードに失敗すると、「需要はあるのに仕事はない」という矛盾を引き起こしかねない。
回復の兆しが見えてきたものの、その兆しとは「IT利活用の時代」であり、これまでとは質が異なる。言い換えれば、変化適応と国際競争の両方を勝ち抜いた企業だけが生き残る時代だと言える。
2004年、IT業界は明るい兆しで新年を迎えた。デジタル家電やブロードバンド、モバイルなど、ユビキタスを具現化する本格的な利活用需要が拡大。個人のIT利用が社会生活全般において急速に広がる様相を呈している。ITは、もはやパソコンをはじめとするコンピュータの世界だけの閉じたものではなくなった。政府の「e―Japan戦略Ⅱ」は蕫IT利活用﨟を強調しており、ビジネスだけでなく個人の生活の中にもITがより深く浸透していく時代の到来といえそうだ。その時代に飛躍する条件は、高い技術力や顧客志向、そして時代の変化に的確に対処できる企業の適応力だ。
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