その他
消費税改正に基づく総額表示方式
2004/04/12 15:00
週刊BCN 2004年04月12日vol.1035掲載
ショップでは利益圧迫の恐れ
4月1日に消費税総額表示が実施されたことにより、パソコンおよび関連機器、家電機器などで事実上、低価格化に拍車がかかっている。低価格化の要因となっているのは、パソコン専門店や家電量販店などで、総額表示の実施前と実施後にもかかわらず、価格を据え置いた商品がそのまま販売されており、実質的に消費税5%分を割り引いているためだ。総額表示の実施後も、「980円」や「9800円」など、1000円や1万円など切りのよい価格より若干低く設定することで、消費者の購入意欲をそがないようにするための苦肉の策だ。ただ、税込み980円であれば49円、税込み9800円では490円の減収になってしまう。
もちろん、商品すべてについて消費税5%分を値引きしているわけではない。各ショップによって、「限定機種」や「対象商品」などの名目で商品を絞っているわけだが、目立つのは希望小売価格が決まっている商品よりもオープンプライスの商品が多いハード機器。19万8000円のパソコンであれば、9900円分の減収。パソコンの粗利率が5─10%といわれているなかで、9900円の減収はこれまで得られていた利益を相当圧迫することになる。一方で、総額表示への移行でポイントカードの還元率を増やすという動きも出ている。ヤマダ電機やビックカメラなどは、ポイント計算を総額表示に変更。従来から税込み価格でポイント還元していたヨドバシカメラでは、5月10日までポイント還元率をこれまでより一律3%アップしている。
総額表示によるショップの対応は、消費者が買い控えすることを危惧し、販売を促進するための施策。消費税分の5%すべてがショップの収益圧迫に影響しているかどうかは、メーカーとの仕切り価格もあるため、各ショップによって異なる。しかし、確実に利益減少のダメージは出ている。日本電気大型店協会(NEBA)は、「消費者がショップに求めるのは、価格と品揃え、サービスの3拍子が揃っていること。それがあれば、これまでの価格に上乗せした表示でも、ユーザーは購入意欲をなくさない」という。しかし、同じ商品で「1社が実施前と同じように、『980円』や『9800円』と表示すれば、他のショップも追随する」と、価格が最もユーザーの関心を引くためのインパクトであることも認めている。
ショップの利益減少を回避する策として、NEBAでは、「総額表示の実施前と実施後で価格表示が同じ商品でも、メーカーから新製品が発売されるタイミングで価格を引き上げることになるのではないか」とみている。新機種の発売とともに「税込み19万8000円」のパソコンであれば、自然と「税込み20万7900円」としても違和感がないというわけだ。「表示額のアップで消費者が購入意欲を失うかどうか」(NEBA)が問題になってくるため、値段の付け方がポイントになってくる。消費税総額表示実施前と実施後が同じ価格表示で販売しながら利益を確保するためには、メーカーとショップ双方とも、消費税分のコストの削減が必要になる。これまで景気低迷下で必死のコストダウンを続けてきたメーカーからすれば、〝乾いたタオルを絞る〟というのに等しく、現実的には不可能だ。まずは、各メーカーから新製品が発売される今年の夏商戦が、総額表示が定着する1つの転機になる。 佐相彰彦●取材/文
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