その他
セキュリティソフトとPCバンドル
2004/08/09 15:00
週刊BCN 2004年08月09日vol.1051掲載
激化する各社の覇権争い
セキュリティソフトメーカーのバンドルを巡る動きが活発だ。トップシェアのシマンテックがパソコンへのバンドル提供で優位に立っていたが、後を追う大手2社もバンドルを積極活用し始めた。更新費用が必要なセキュリティソフトは、たとえ無料でパソコンメーカーにバンドル提供しても、その後の更新費用が収益として見込める。実際、「ソフトをパソコンメーカーに提供するだけでは利益はない」(トレンドマイクロの宍倉豊・営業本部リテールパートナーセールスグループディレクター)としており、「あくまで更新費用が狙い」(同)と言い切る。
パソコンの低価格化が進むなかで、バンドルソフトに費用をかけるパソコンメーカーは皆無に等しい。「最近ではパソコンメーカーにバンドルを依頼すると、逆に費用を請求するメーカーが多い」(画像処理ソフトベンダー)ほどだ。更新費用が見込めないソフトは無料でバンドル提供するメリットは薄いが、セキュリティソフトの場合、その〝うま味〟は限りなく大きい。トレンドマイクロは中古パソコン、ショップブランドパソコンに目を着けた。「中古とショップブランドパソコンは、パソコン出荷台数全体の約1割にも及ぶ成長分野にも関わらず、未開拓の領域。まさに格好の土壌」(宍倉ディレクター)としており、ヤマダ電機やソフマップなど、合計25社の中古およびショップブランドパソコン販売企業へのバンドル契約を決めた。
トレンドマイクロは、有効期限が切れた場合に、更新を促すポップ画面でユーザーが購入(更新)ボタンをクリックすると、各販売店のソフト販売サイトにジャンプする仕組みを作った。販売店のサイトに顧客を誘導することにより、正規版購入の際にショップにも利益が出るというわけだ。これが25社もの企業に一気にバンドルが決まった要因となった。中古パソコンの販売に強いソフマップは、「購入の際にセキュリティソフトのバンドルの有無を聞かれたことが多かった」(カクタソフマップ店の中村考二・2階総合フロア長)と説明、バンドルによる販売増加に期待を寄せる。
バンドルを決めた別のパソコン専門店では、「これまでシェアの高いシマンテック製品を中心に拡販してきたが、ウイルスバスターをバンドルしたことで、トレンドマイクロのプロモーションも積極化させる」と語る。トレンドマイクロ製品をインストールしている自社パソコンのメリットを訴求するため、トレンドマイクロのパッケージ版の販売も強化していく考えで、パッケージ販売の営業にもプラスに作用すると見る。一方、マカフィーは、シマンテックと同じメーカー系パソコンで攻めている。ASP方式による提供であるため、バンドルする際に行うテストをメーカーが軽減できるメリットを武器に、NEC、松下電器産業製パソコンへのバンドルを早々とシマンテックから奪取。東芝の新ブランドパソコン「コスミオ」へのバンドルも決めた。
田中辰夫・マカフィー執行役員コンシューマー営業統括本部長は、店頭販売よりも「インターネットサービスとのセット販売」、「ダウンロード」、そして「バンドル」の3つを重視する考えを示す。「更新比率が高いだけに、まずは使ってもらえるような体制を提供することが重要であり、バンドルは最も有効な手段」と力を入れる。中古とショップブランドパソコンという新分野を開拓したトレンドマイクロに、メーカー系パソコンに再び入り込んだマカフィー。店頭販売ではシェア45%以上を獲得する王者シマンテックに大きく水をあけられている2社だが、バンドルの覇権争いでは拮抗した戦いを見せ始めた。(木村剛士●取材/文)
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