その他
動き始めた関西のIT投資
2004/08/30 15:00
週刊BCN 2004年08月30日vol.1053掲載
IT関連企業の戦略・戦術がカギに
関西地域の企業のIT投資が、ようやく動き始めた。デジタル家電の好調に支えられた電機や電子部品関連企業は、すでに水面上に浮上していたものの、広範な中小企業は今春の段階では、まだ水面下にあった。しかし、7月の日銀短観で中小企業製造業の業況判断指数が約12年半ぶりにプラスに転じ、景気回復を示す指標が示された。それを裏付けるように、IT関連企業でも手応えを感じつつある。
富士通ビジネスシステム(鈴木勲社長)は今年4月、大阪地区の営業強化を目的に、大阪支社を文教や自治体、医療を担当する公共ソリューション統括営業部、ミッドレンジ市場を担当する第一ソリューション統括営業部、大手業種を担当する第二ソリューション統括営業部に再編した。土田愼一郎専務は、東京と大阪では市場規模が異なることを認めつつも「(景気回復の)東京1極集中からは脱した。成長性のある分野や中小企業をターゲットにしていく」と関西地域の事業拡大に期待する。藤原寛之・取締役関西営業本部長も「(市場環境は)前年比で改善しているのは確か。組織再編でターゲットゾーンを充実した。下期には結果につなげたい」と手応えを感じている様子だ。
「リースなどの与信が通るようになり、ペンディングが解けている」というのは、大塚商会で西日本を担当する稲子谷昭専務。いち早く山頂(大手電機メーカーなど)に差し込んだ陽光が麓(中小企業)にも及んできた。「今なら行けると、中小企業が投資に踏み切れる環境になってきている」(稲子谷専務)ということだ。これは、金融サイドのデータからも裏付けられる。関西の地銀各行は、軒並み中小企業向け貸し出しを増やしている。大手行も中小企業向けの定型商品を開発、新規取引先の獲得に熱心だ。「これまでの融資基準では、ターゲットにならなかった規模の企業とも新規取引を開始している」(大手行関係者)という。
大塚商会は、2004年12月期の6月中間期で中間期としては過去最高の業績を記録するなど好調が続いている。しかし、数年前までは首都圏が稼ぎ、関西圏の落ち込みをカバーする状態にあった。本社移転など、関西系企業の東京シフトが進んだことも要因だが、IT関連企業自身がボリュームの見込める首都圏の体制強化に乗り出したという面もある。「体力があるにもかかわらず、環境が悪いと同業他社に迎合し、収益を確保する機会を逃していた」(稲子谷専務)ということだ。中小企業が多い西日本は、リスクがある半面、新規顧客には事欠かない。そこで、西日本で新たな戦略・戦術を試みると、ERP(統合基幹業務システム)やCADなども高い伸びを確保できた。関西支社や西日本の地方支店は、軒並み業績が好転。04年6月中間期は、いずれも黒字幅を拡大させている。潜在需要までは、縮小してはいなかったということだ。
7月の近畿の倒産件数は、前年同月比5・9%減の303件で、15か月連続して前年同月を下回っている。もちろん、中小企業が多いだけに倒産リスクがつきまとうのはやむを得ず、8月には「つなぎ融資」を断られた大証2部上場メーカーが民事再生手続き開始を申し立ててもいる。また、内閣府によると4─6月期のGDP(国内総生産)の実質成長率が予想を下回る前期(1─3月期)比0・4%増にとどまってもいる。景気動向は予断を許さないが、関西企業のIT投資が動き出しているのは間違いない。成長が鈍化した際の対応を含め、問われるのはIT関連企業の戦略・戦術といえそうだ。(山本雅則(大阪駐在)●取材/文)
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