弥生(平松庚三社長)は、今年11月に発売予定の会計ソフトウェア「弥生会計05」(仮称)をネットワーク対応版にする。これまでの弥生会計は、1台のパソコンだけで利用できるスタンドアローン版のみだった。ネットワーク対応版に移行することで、会計事務所や税理士事務所などと連動したオンラインサービスが拡充できるようになり、これまでの主力ユーザーである中小企業やSOHOに加え、より規模の大きな企業ユーザーの開拓にもつなげる。また、これを機に、同社の業態を従来のソフトウェアベンダーから、「サービスプロバイダへと変化」(平松社長)させていく。
オンラインサービスで顧客囲い込み
弥生はこれまで、毎年秋口にバージョンアップ版をリリースしているが、すべてスタンドアローン版で、ネットワーク対応版会計ソフトを出すのは初となる。ネットワーク対応版の弥生会計05は、現行バージョンの「弥生会計04」(プロフェッショナル版8万円、スタンダード版4万円、いずれも税別)の価格を据え置き販売する。既存の弥生会計を持つユーザーは、優待価格(価格未定)で弥生会計05に買い替えが可能だ。
弥生会計05は、スタンドアローンとしても利用ができる。また、毎年のバージョンアップ版が無料で提供される「弥生サポート&サービス」会員(有料)のうち、弥生会計を持つユーザー約5万社は、会員登録を継続すれば自動的にネットワーク対応版に切り替えることが可能だ。
同社は2002年から、会計事務所とその顧問先企業向けソリューション「マーチプロジェクト」を活用するためのネットワーク対応ソフトとして、企業向けに「弥生会計CE(クライアント・エディション)」を会費制(年間4万円)で提供している。会員ユーザーは「マーチサービス」の名称で、会計事務所や税理士事務所などと連携した固定資産税管理サービスや経営コンサルティング支援、安川情報システムの技術提供を受けたデータバックアップサービス──などの経営支援サービスをオンライン上で受けられるようになっている。
今回発売する弥生会計05を購入したユーザーは、このマーチサービスと同等のサービスを内容により1000円程度か無料でオンライン上で受けることができる。事実上マーチサービスを安価に利用できるユーザー数を増やすことで、弥生会計への顧客囲い込みを図り、サービス収入の量的効果を追求する。
このほか、9月1日には中央青山監査法人と共同で、中小規模事業者のビジネス支援を目的とした弥生会計ユーザー限定の有料ウェブサービス「ビズナビ」を開設。あおぞら銀行が提供する電子融資などもビズナビを通じてサービスを利用できるようになった。
弥生は、こうしたサービスのメニューを増やすと同時に、これらサービスを総合的にネットワーク対応版を通じユーザー向けに提供していく。サービスの拡充にあたっては、今後、会計・財務、顧客管理、セキュリティなどの分野で、他のIT企業と積極的にアライアンスを組んでいく。
平松社長は、「当社はこれまで単なるソフトベンダーだったが、ネットワーク対応版を出すことで、弥生会計を核にサービスプロバイダの役割も果たす」と、ブロードバンド環境の浸透に対応して、同社の業態も変化させていく考え。弥生会計のユーザーは、従業員10人以下の中小・零細企業、SOHOが90%以上を占めているが、オンラインサービスの拡充で、より大きな規模の企業へもユーザー層を拡大できると見ている。
弥生の昨年度(04年7月期)の売上高は約66億円と前年度に比べ5%強伸び、営業利益も同80%増の約25億3000万円と、いずれも前身のインテュイット時代を含め過去最高を記録した。今年度はネットワーク対応版の投入効果などにより、売上高で71億円(前年度比約8%増)、営業利益で27億円(同約7%増)を見込んでいる。