その他
今、SEに求められる力
2004/09/20 15:00
週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載
もっとコミュニケーション能力を
システムインテグレータとソフト開発企業が、共通の悩みとして抱えているのが開発案件の不採算化。要因には、プロジェクト管理の不徹底や、顧客とのコミュニケーション不足がある。その撲滅のため、プロジェクトマネージャーなどを務める上級システムエンジニア(SE)の教育を積極化させる企業も増えている。技術的スキルや経験に加え、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力などといった顧客対応のスキルをSEに求める企業は意外に多い。顧客との間でしっかりとコミュニケーションを図って仕様を詰め、不採算の開発案件を防ぐとともに、顧客と接する機会が多いSEに新たな開発案件を引き出す役割を求めているからだ。
ソフト開発を主軸に置く富士通ビー・エス・シー(富士通BSC)は、昨年度に大規模プロジェクトで不採算案件が発生した。その教訓を生かして、教育制度を作成・運用する専門部署を今年度から設けるなど人材育成に躍起だ。約10か月かけて、昨年秋に教育プログラムを完成させて運用しており、年間約2億2000万円を人材教育費用に当てる。同社で教育プログラムの作成を手がける冨永典夫・技術推進本部技術推進統括部HRD推進部部長は、教育プログラム作成以前は、「新入社員研修など基礎的な教育施策はあったが、それ以外は各部署、担当者次第であった。各事業部単位で教育のための予算を持たせても、目の前の仕事を優先して、教育を度外視する傾向が強く、結局予算が余ることが大半だった」と、これまでの状況を打ち明ける。
今後、運用していくなかで、新たに必要なカリキュラムを抽出・追加するため、半年に1度の割合で内容を変更していく予定だが、冨永部長が、今、特に不足しているスキルとして捉えているのが、「ヒューマンスキル」だという。「単純にモノを作るだけのSEではなく、顧客との会話のなかで新たな開発案件を引っ張り出せるSEが欲しい。場合によっては営業担当者よりも顧客に触れることが多いだけに、コミュニケーション能力と提案能力は、SEには必須のスキルになっている」という。サポートサービスを手がけるNECフィールディングの富田克一社長も、コミュニケーション能力の重要性を指摘する。「SEと営業の役割を兼ね備えているとも言えるカスタマエンジニア(CE)が当社の一番の武器。顧客とのコミュニケーションのなかで、頼まれた案件以外の提案ができるCEの育成が重要だ。年間25─30日は、教育の時間に充てている」としている。
富士通BSCでは、「スペシャリスト」と呼ばれる上級SEに昇格するための試験に、実績と資格の有無などのほかに、役員との面接を盛り込み、コミュニケーション能力を試す取り組みを今年度から始めている。「ITスキル標準(ITSS)」の作成に携わった経済産業省の平山利幸・商務情報政策局情報処理振興課係長は、「ITベンダーの商品はモノではなくサービスであり人である。技術だけではSEの力は計れない」と話しており、「マーケティング」や「セールス」といった項目をITSSに組み入れた理由を説明する。「ITバブルのなかで競争意識もなしに業績を伸ばせた」(中堅システムインテグレータ)時代は過ぎ、開発案件も複雑化、顧客のコスト削減要求も強い。単純にシステム開発していれば存在価値を見出せたSEのあり方も、求められるスキルも変わりつつある。(木村剛士●取材/文)
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