その他
中国携帯メーカー「波導」自動車業界から撤退か 異業種の参入ブームに陰り
2004/09/20 15:00
週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載
中国国内の携帯電話メーカー最大手の波導(バード)が、昨年から資本参加していた中国大手自動車メーカーの南京汽車から撤退、あわせて自動車業界からも撤退するのではないかと報じられた。中国では昨年、家電やそのほかの異業種からの自動車業界への参入が相次いでいたが、状況が変わり始めているようだ。
2003年の中国自動車市場は活況を呈し、急成長かつ高利益率の業界として注目された。自動車の販売台数は03年の1年間で420万台に達し世界第3位、前年比70%増の急成長を遂げている。所得の向上や個人ローンの活性化もあって、中国の消費者にとっても、自動車はすでに高嶺の花ではなくなっていた。そうした背景のもと、大きな規制もなく、資金力ある異業種企業がこの超有望業界に目をつけて相次いで参入、それがブームとなった。
そのなかで、携帯電話が爆発的に普及、それにあわせて03年度決算でも好業績を発表した波導が鳴り物入りで自動車市場への参入を発表したのは03年終わりだった。後に発表された03年度決算で、波導は70%増収を達成している。さらに04年4月にはやはり大手携帯メーカーの夏新電子も自動車業界への参入を発表した。
波導にしても、夏新電子にしても、急成長かつ高利益率であるほか、総合産業としての自動車そのものに惹かれたという背景もあるだろう。特にカーエレクトロニクス分野に高いポテンシャルがあるとされる中国では、すでにトヨタをはじめ、海外メーカーも研究開発を進めている。技術力のある携帯電話メーカーがこの分野に参入してみたいと考えるのは自然なことだ。
波導は、中国ITの総元締めともいえる中国普天集団のグループ企業の1つ。04年上半期(1-6月)の携帯電話販売台数シェアでは、モトローラ、ノキア、サムスンの外資三羽烏には及ばないものの、急成長中の中国総合家電のTCLを抑えて、9.6%で第4位につけた。
サーチナが行なっている中国の一般消費者に対する調査でも上位につける波導。参入から1年も経たないこの段階での自動車業界からの撤退報道について、まだ詳しいことは明らかになっていないが、最もよく指摘されている、提携先の南京汽車としっくりいかなかったことのほか、次の4つの要因が考えられる。
①04年6月、中国では自動車に関する新しい産業育成計画が発表され、そのなかで、既存メーカーの活性化とともに新規参入や異業種からの参入組みを規制していく方針が示された。波導にとっては、政策的に逆風を受けることになった。
②中国の自動車市場が低迷を続けており、04年通年でみれば20-30%程度の成長は見込めるが、7月までの月間販売台数が前月比や前年同月比などでマイナス成長、中国国有重点自動車メーカーの累計損益が、1-7月で減益となった。在庫増もあって、製品価格が急落、以前ほどの高利益率が望めなくなってきている。
③本業の携帯電話販売が伸び悩みをみせている。今年1-6月のシェアは9.6%となったが、前年同期のシェアが15%程度だったことから考えると、その競争の激化振りがうかがえる。価格競争に引きずられる形で利益率が低下し、「本業危うし」のなかで、非本業を切り離す可能性がある。少なくとも04年は03年ほどの好業績が望めないこともある。03年度決算にしても、70%増収の一方で、増益幅は13%程度にとどまるなど、すでにそうした兆候が現れていた。
④普天集団は傘下の企業がそれぞれ株式を中国本土や香港などで上場しているが、今後グループ全体での株式上場を見据えており、その内部再編を行なっている。グループのフラグシップの1つである波導がそれに影響を受けることは確実。異業種に注力している場合ではない。内部再編によって、普天集団は波導など傘下会社を含めて、今年発表された中国ITトップ100社にランキングされていない。
ただし、波導は上海市の波導自動車研究所における新車の開発は継続させており、自動車業界からの全面的撤退ではなく、市場環境の様子をみながら、再起を図るきっかけを探しているとみる向きもある。(サーチナ・有田直也)
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