その他
マイクロソフト「ロングホーン」、出荷延期
2004/09/27 15:00
週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載
次期OSに冷めた目
先月下旬、米マイクロソフトはウィンドウズの次期クライアントOS(開発コード名・ロングホーン)の出荷開始時期を、2006年内を目標にする方針を発表した。サーバー用OSについては、07年をメドとすることも併せて発表。当初、「05年中の出荷」としていた新OSだが、マイクロソフトは〝延期〟という形を選択した。ロングホーンだけでなく、ソフトの出荷開始日が当初の計画よりもずれ込むことは、ソフト業界にとって珍しいことではない。マイクロソフトが今月2日に出荷を開始したウィンドウズXPのアップデートプログラム「ウィンドウズXPサービスパック2セキュリティ強化機能搭載(ウィンドウズXP SP2)」も、約2か月遅れて出荷している。
だが、デファクトスタンダード(事実上の標準)であるOSの新バージョンともなると、法人・個人を問わず、低迷が続くパソコンビジネスで買い替え需要を喚起できる〝起爆剤〟として、その動向を注目していたシステムインテグレータやショップ関係者も多いように思える。システムインテグレータなど業界関係者は、この新OSの出荷延期をどのように捉えているのか。
ロングホーンは、「ウィンドウズXP」の後継にあたるクライアントOSで、セキュリティの強化や、ウェブサービスへの対応機能を追加したほか、画面のユーザーインターフェイスも一新し、アニメーションアイコンなどが使えるようになるという。また、新ファイルシステム「Win FS」でストレージ管理を行い、情報の高速検索、関連付けなどを可能にするなどの新機能を備える計画。機能の豊富さは、2000からXPへと進化した時よりも、はるかに上回る印象を受ける。
だが、新OSに対する期待を口にする業界関係者は、予想以上に少ない。中小企業向けシステム構築に強いあるシステムインテグレータは話す。「ウィンドウズXPが出荷された時も、パソコンの買い替え需要が活発化したわけではない。ロングホーンでもウィンドウズXPと同様の結末となる可能性があり、特需は期待できない」
また、あるディストリビュータは、「新OSの出荷開始により、需要を掘り起こせる時代は過ぎた。新しいOSが出るだけで購入意欲を感じてもらえるほど、顧客のパソコンへの関心は高くない」と、冷めた見方をあらかさまに示す。
一方、コンシューマ分野でも、同様の見解で一致する。東京・秋葉原を主力商圏とする大手パソコンショップ幹部は、「XPの出荷の時は、期待を裏切られた。ロングホーンに新機能がどれほど載ってくるかは分からないが、来年、新OSをアピールしてパソコン販売を伸ばしていこうとは考えていなかっただけに、延期されても影響はない」としている。
ウィンドウズXPが出荷開始されたのは、01年11月16日。同年12月におけるBCNランキングのパソコン出荷台数の月次データは、デスクトップが台数ベースで前年同月比47%減、金額で同40%減、ノートでは台数が同25%減、金額で同29%減と、当時、下降局面を辿っていたパソコン市場を上向かせるまでには至らず、前年水準を大きく下回った。新OSの出荷で販売台数が拡大したとは言い難い現実が、すでにあった。新OSに対する期待も、出荷の延期も、最近のパソコン販売においては「ビジネスに結びつかず、大きなことではない」というのが、IT各社に共通する現状認識のようだ。(木村剛士●取材/文)
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