その他
ソニー、経営陣を刷新 新マネジメントスタイルの構築へ
2005/03/14 21:12
週刊BCN 2005年03月14日vol.1080掲載
ソニーはこのほど、6月22日付で出井伸之・代表執行役会長兼グループCEOが退任し、その後任にハワード・ストリンガー・取締役執行役副会長兼COO・ソニー・アメリカ会長兼CEOが、同じく退任する安藤国威・代表執行役社長の後任として、代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOに中鉢良治・執行役副社長兼COO(マイクロシステムズネットワークカンパニー、イーエムシーエス担当)が昇格するトップ人事を内定した。新経営体制は、「新しいマネジメントスタイルを構築する」(出井会長)ことが狙いという。「トップ人事については私と安藤社長で決めた。日産自動車のカルロス・ゴーン氏も成功している」(同)と、意表を突くトップ人事を誇るが、肝心の「難しい局面にある」(中鉢新社長)主力のエレクトロニクス事業の復活は果たせるのか。(佐相彰彦●取材/文)
エレクトロニクスの復活なるか
■本業復活を担う中鉢新社長
10年にわたりソニーの経営トップの座に就いていた出井会長兼グループCEOは同社最高顧問に退き、安藤社長は5年の社長在任で顧問に退く。
トップ交代の理由について、出井会長兼グループCEOは、「AV(音響・映像)とITの融合といったプロダクトイノベーションが進んでいることや中国市場の伸長など、さまざまな環境に対応しなければならない。ストリンガー新会長は、米州地域のトップとして、その地域のエレクトロニクスビジネスやエンターテインメントビジネスなどを手がけてきた」ことを挙げる。CBS出身でコンテンツビジネスに長けたストリンガー新会長には、主にそちらを任せるつもりのようだ。
一方、安藤社長の後任となる中鉢執行役副社長兼COOについては、「マイクロシステムズネットワークカンパニーの責任者として、エレクトロニクス全般の“裏のオペレーション”を手がけてきた」(出井会長)として、エレクトロニクス事業の“復権”を託す。出井会長の中鉢新社長に対する評価は、周りの意見に耳を傾けるという意味で、「グッドリスナーとしての評価は高い」。
ソニーは米ニューヨークにオフィスを置くストリンガー新会長を経営トップに戴く一方で、ソニーの家業である地味な半導体やエレクトロニクス、家電といった分野を、「日本にいる」中鉢新社長に担当させる、という布陣を敷く。
ソニーは、2004年度(05年3月期)におけるエレクトロニクス事業の売上高が1兆5108億円(同0.9%減)となる見込み。フラットパネルテレビやデジタルカメラ、液晶リアプロジェクションテレビが好調に推移しているが、価格低下による利益率の悪化が影響し、営業利益は494億円(同23.3%減)と落ち込む予想だ。主力であるエレクトロニクス部門の回復が重大な課題。そうでなくても、薄型テレビへの出遅れを指摘されるなど、製品戦略もマーケティングも評判が良くない。中鉢新社長が言うように「難局」と言ってもいい。
ストリンガー新会長は、「顧客ニーズや製品イノベーションは変わる。ソニーも変わらなければならない」と本業の復活に自信をみせる。中鉢新社長も「AVとITの融合世代に新しいものを見い出していく」と意欲をみせる。
■久夛良木氏の去就に注目
今回のトップ人事で、もう1つ注目を浴びたのが、4月1日付で「グループ役員」となる久夛良木健執行役副社長兼COOの人事だ。現在、管掌しているセミコンダクタソリューションズネットワークカンパニー担当、ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー担当については、セミコンダクタソリューションズネットワークカンパニーNCプレジデントには中鉢新社長が、ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー担当は、6月22日付で代表執行役副社長兼グループCFOに就く井原勝美・執行役副社長兼グループCSO&CFOが管掌する。
久夛良木執行役副社長兼COOはいわずと知れた「プレイステーション(PS)」の生みの親で、“ソニー=PS”のブランド力を高めた存在。「早く新マネジメント体制に移行させるため」(出井会長)とはいえ、ゲーム事業の低迷はあるものの4月1日付での管掌業務変更などには不可解な面も残る。
今回の人事でソニーは、「グローバルなCEOを置くことで、新しいマネジメントスタイルを構築する」(出井会長)方針だ。新経営執行体制が、これまで培ってきた“ソニーらしさ”を踏襲することになるのか、それとも“新しいソニーらしさ”を生み出すのか。在ニューヨークの会長と日本の社長との連携は?──そしてこの人事でエレクトロニクス事業の復活のスタートを切ることができるのだろうか。
ソニーはこのほど、6月22日付で出井伸之・代表執行役会長兼グループCEOが退任し、その後任にハワード・ストリンガー・取締役執行役副会長兼COO・ソニー・アメリカ会長兼CEOが、同じく退任する安藤国威・代表執行役社長の後任として、代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOに中鉢良治・執行役副社長兼COO(マイクロシステムズネットワークカンパニー、イーエムシーエス担当)が昇格するトップ人事を内定した。新経営体制は、「新しいマネジメントスタイルを構築する」(出井会長)ことが狙いという。「トップ人事については私と安藤社長で決めた。日産自動車のカルロス・ゴーン氏も成功している」(同)と、意表を突くトップ人事を誇るが、肝心の「難しい局面にある」(中鉢新社長)主力のエレクトロニクス事業の復活は果たせるのか。(佐相彰彦●取材/文)
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