オービックビジネスコンサルタント(OBC、和田成史社長)が出資する中国ソフトウェア開発合弁、上海欧比西晟峰軟件(OBCセイホ、上海市、徐一旻総経理)は、中国に進出してくる日系企業向けのERP(統合基幹業務システム)パッケージのカスタマイズビジネスを強化する。現地の日系企業から「奉行新ERP」などのカスタマイズ要求が高まっていることに対応。現在約60人いる技術者を年内に100人に増やし、さらに来年は倍の200人体制とする。OBCではこうした日系企業向けビジネスと並行して、中国市場向けに中国版ERPの開発も検討していくほか、華東地域でオフショア開発の受け皿となる大規模ソフト開発センターの設置も検討していく。
大規模ソフト開発センター設置も検討
OBCセイホは、OBCが65%、現地オフショア開発会社の上海晟峰軟件(上海市、張松峰総裁)が35%を出資し、2004年4月に設立された。OBCでは、日本での「奉行シリーズ」のユーザーが中国に進出するにあたり、ソフトのカスタマイズをOBCの販売パートナーに求めてくるケースが増えてきたことから、その作業を上海晟峰軟件に委託する仕組みを03年10月に整備。当初はカスタマイズ作業を上海晟峰軟件に単純委託するところからスタートし、04年4月から合弁体制に切り替えた。現在、OBCは合弁パートナーである上海晟峰軟件にも22%を出資している。
機械、自動車、精密機械などの日系メーカーが中国に製造進出する際、関連する部品メーカーは多い時で1000社規模、少ない場合でも200社余りが同時進出するとされ、これに伴いOBCにも、奉行シリーズのユーザーからカスタマイズに関する問い合わせが毎月10社以上寄せられるようになったことから、中国でのカスタマイズビジネスを強化することにした。
これまでカスタマイズ作業の受け入れ体制は、OBCセイホのSE(システムエンジニア)約30人、上海晟峰軟件のプログラマー約30人の計60人体制で臨んできたが、これを「年内に100人規模に拡大し、さらに来年は倍の200人まで引き上げる」(徐・OBCセイホ総経理)方針。OBCセイホと上海晟峰軟件の役割分担は、OBCセイホがシステム設計などの上流工程、上海晟峰軟件がコーディングなどの下流行程を担当する。
OBCでは、同社の販売パートナーを支援する目的で、03年3月から中国におけるカスタマイズビジネスの調査を開始。事業化にあたっては「経営は中国側のメンバーに任せる」(和田・OBC社長)方針を掲げ、現地パートナーとの関係を深めてきた。今後は、こうしたカスタマイズビジネスに加え、オフショア開発ビジネスなどにも積極的に取り組んでいく。
この一環として、上海晟峰軟件が主体となり、OBCが資金支援する形で、大規模ソフト開発センターの設立を検討している。立地は江蘇省内が有力と見られ、上海合弁との連係のもと、オフショア開発拠点として機能させていく。
また、中国版ERPの開発も検討中で、中国市場の開拓も視野に入れていく。現在、中国のERP市場は、大手企業にはSAPやオラクルが食い込んでいるが、中堅以下の層ではERPを導入している企業は少なく、未開拓市場となっている。現地企業では、財務ソフトからスタートした用友軟件、金蝶国際軟件などがERP市場に進出しているが、市場開拓が本格化するのはこれからといわれている。