その他
タカヨシ IT化で印刷業を情報産業に
2005/12/19 14:53
週刊BCN 2005年12月19日vol.1118掲載
印刷の世界は、鉛の活字を使っていた時代からCTS(コンピュータによる写植システム)の登場、さらにDTP(デスクトップパブリッシング)の一般化と、コンピュータ技術の進歩によりビジネスが大きく変化してきた業界だ。
新潟市郊外の亀田工業団地に事業本部・工場があるタカヨシ(高橋春義社長)は、業務部門でのコンピュータ導入に早くから着手したことで、制作部門のIT化についても業界に先んじて変化の波をとらえることができた。常に先端技術を取り入れることで、技術的なアドバンテージを高め、順調に業績拡大している。
タカヨシが最初のオフコンによる「販売管理・生産管理システム」を導入したのは1983年1月。「大手印刷メーカーなどが印刷業向けシステムを開発していたが、非常に高額だった」(渡邉信雄専務)ことで、「人材を育成し、試行錯誤しながらコンピュータ化を図った」と自ら開発する方法を選択した。当時、印刷業界はコンピュータの活用が広がり、制作手法が大きく変わり始めていた。CTSが普及し、さらにDTPが登場。そうしたシステムにも「常に投資してきた」という。時代の変化をとらえ、地方にあっても先端技術を取り入れてきた。
そのひとつが、「販売管理・生産管理システム」と同じ83年5月に稼働した北日本で初めてのCG(コンピュータ・グラフィックス)システムだ。「CGシステムも当時は非常に高価。しかし即決で導入を決めた」という。その頃、地元新聞社でもCGシステムは持っていなかった。そのため、翌年から4年間、元日付の地元新聞の特集ページ制作でもタカヨシのCGシステムが活躍した。
その後、マッキントッシュによるDTPシステムの導入を経て、96年にはオフコンから全社パソコンに、全面的に社内システムを更新。さらに99年にはイントラネットを構築し、社内の情報をスピーディに伝達し情報公開するように体制を改めた。
「コンピュータ化の方向性は見えていた。基幹業務もクリエーティブ分野でもコンピュータ化に乗り遅れることは致命傷になる」(田渕眞治取締役営業部長)ということに早くから気づき、IT化には積極的な投資を行ってきた。「そのために清水の舞台から何度も飛び降りた」と渡邉専務は笑うが、競争が激しくなるとともに多角化を進める同社にとっては、先手先手の情報基盤構築が強い武器になった。
その一方で、「年賀状のように、印刷業者に頼んでいたものでも、企業も家庭も自前でつくることが多くなった。IT化が進むことはビジネス革新と同時に、ビジネスを危うくする要素も含んでいる」(田渕取締役)。だからこそ先進的な技術導入や顧客を囲い込むためのIT化が必要になる。
同社の得意とする分野のひとつがラベル印刷。様々なラベル印刷のニーズに応え、競争を勝ち抜くには他社にない技術で一歩先を行くことが重要だ。そのため04年3月にはUV(紫外線)オフセット印刷機も導入し、クリーンルームも設置した。
UVによりインクを硬化させる印刷方法だが、様々な素材への印刷が可能になる。これも「清水の舞台」のひとつなのだろう。ショールームを見学させてもらうと、お菓子のパッケージやクリアファイルへの印刷など、当たり前のように生活の周囲にあふれているものへの印刷が高度な技術に負っているのがわかる。
同社が当初コンピュータ化で導入したオフコンは富士通製。システムインテグレーション(SI)は群馬県の両毛システムズが請け負っている。タカヨシと両毛システムズの関係は30年近い。「これらベンダーとのコラボレーションがIT化を進められた秘訣」(渡邉専務)でもある。両毛システムズはタカヨシを顧客とすることで、このノウハウを生かした印刷業向けのパッケージも提供している。タカヨシによればすでに6社以上の印刷業者で活用されているはず、という。
タカヨシは、今でも特定の顧客とのEDI(電子データ交換)の受発注システムのほか、東京をはじめとして全国に展開する営業マンが使用するモバイルシステム、今年1月に導入したCAD(コンピュータ支援設計)システムなど、IT導入の手綱を緩めず、続々と情報化を進めてきた。今の課題は、「ホームページが“売れる”仕組みになっていない。ネットの積極的な利用が差別化につながり、タカヨシの認知度を高める要因にもなる」(渡邉専務)と見ている。もちろん顧客にも、単に印刷物の提供だけを目的としたビジネスを提案しているわけではない。「ITを絡めた印刷情報産業」(同)がタカヨシの目指す企業像なのだ。(川井直樹)〈おわり〉
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