その他
本格化するスパイウェア対策需要 有力ベンダー、相次ぎ専門ソフト投入
2006/01/23 14:53
週刊BCN 2006年01月23日vol.1122掲載
スパイウェア対策ソフトを巡るベンダーの動きが激しい。特にコンシューマ市場では、世界市場でトップベンダーの米ウェブルート・ソフトウェアが、昨年日本市場に上陸。トレンドマイクロは、「ウイルスバスター」とは別ラインアップで、スパイウェア対策専門ソフトを今春に投入する計画を打ち出した。昨年中盤から徐々に販売実績が現れはじめているスパイウェア対策ソフトだが、今年はさらに存在感を増すことになりそうだ。(木村剛士●取材/文)
米ウェブルート参入も刺激に
■ウェブルート、20-30%シェアに照準
「今年はスパイウェアの被害が本格的に出てくる」──。
約1000万人のユーザーを持ち、「スパイウェア対策ソフトの世界市場で約70%のシェア」(ウェブルート・ソフトウェア日本法人・池真之セールスディレクター)を握る米ウェブルート・ソフトウェアの井上基・日本法人社長は、今年がスパイウェア対策ソフトの本格的な需要期になると予測する。
同社は、その見通しにもとづいて、昨年7月に日本法人を設立。「ニーズが本格化するタイミングを待っていた」(井上社長)という。12月9日にコンシューマ向けのスパイウェア対策専門ソフト「スパイ スウィパー」を投入。スパイ対策ソフト市場で今年6月までに一気に20-30%のシェアを確保したいという。
スパイウェアは、ユーザーの知らぬ間に、パソコン内のクレジットカード番号やパスワードなどの個人情報を盗み出す。ユーザーは、情報を盗まれたことはもちろん、スパイウェアがパソコン内に侵入したことすら分からないケースが大半だ。金銭的な被害につながりやすいことから、ウイルス対策ソフトに比べニーズを喚起しやすいとの見方が強い。
確かに、スパイウェアの被害は顕在化してきている。昨年11月、千葉銀行のオンラインサービス利用者が、同銀行名で送られてきたCD-ROMをパソコンにインストールしたところ、口座から身に覚えのない預金引き出し事件が起きた。原因はCD-ROMに埋め込まれたスパイウェアによって利用者の個人情報が盗まれたためだ。
情報処理推進機構(IPA)のセキュリティ相談窓口では、スパイウェアに関する相談が増えている。昨年12月には同7月に比べて、相談件数が約5倍に膨れ上がった。ウイルス感染による被害に比べ相談件数は少ないが、それでも着実に増えている。
■トレンドも専門ツールを用意
対策に乗り出しているベンダーは、ウェブルートだけではない。トレンドマイクロは今春、新ラインアップとしてスパイウェア対策専門ソフト「スパイバスター(仮称)」の投入を決めた。すでに米国では販売しているが、日本のコンシューマ市場で「ウイルスバスター」以外のソフトを販売するのは今回が初めて。「競合製品が浸透する前に、マーケットリーダーになりたい」(宍倉豊・リテールパートナーセールスグループディレクター)と意気込みは強い。
セキュリティソフトのトップ、シマンテックの斎藤秀明・執行役員副社長コンシューマ事業統括は、「現段階で予定はないが、スパイウェア対策専門ツールを出す可能性はある」と示唆する。
また、スペイン製ウイルスソフトを販売するITXイー・グローバレッジは、1月下旬に投入予定の新バージョンで、スパイウェア対策に強いことを印象づけるパッケージデザインを採用。プロモーション施策も「スパイウェア対策を前面に打ち出す」(野原善政・ビジネスデベロップメントマネージャー)計画だ。
インターチャネルやコンピュータ・アソシエイツ、ジャングルなど、すでにスパイウェア対策専門ソフトの販売に乗り出している企業に加え、大手企業の参入による販売合戦が進めば、市場は昨年以上に活性化する可能性が高い。
複数のセキュリティ機能を盛り込んだ「統合型セキュリティソフトに飽和感が出てきた」(大手セキュリティソフトベンダー幹部)市場環境だけに、ベンダー側のスパイウェア対策ソフトにかける期待は大きい。
スパイウェア対策ソフトを巡るベンダーの動きが激しい。特にコンシューマ市場では、世界市場でトップベンダーの米ウェブルート・ソフトウェアが、昨年日本市場に上陸。トレンドマイクロは、「ウイルスバスター」とは別ラインアップで、スパイウェア対策専門ソフトを今春に投入する計画を打ち出した。昨年中盤から徐々に販売実績が現れはじめているスパイウェア対策ソフトだが、今年はさらに存在感を増すことになりそうだ。(木村剛士●取材/文)
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