その他
30周年を迎えた富士通沼津工場
2006/09/04 21:10
週刊BCN 2006年09月04日vol.1152掲載
連綿と引き継がれるモノ作りのDNA
静岡県沼津市にある富士通の沼津工場。1976年、サーバーなどコンピュータの戦略的製造拠点として誕生し、今年8月で開設30周年を迎えた。約16万坪の敷地面積に約2000人の社員が勤務する大型拠点だ。工場内には、「コンピュータの天才」と呼ばれ、リレー式コンピュータを開発した故・池田敏雄専務の記念室があるなど、富士通のコンピュータ作りの象徴的な拠点である。節目の年に同工場を訪れた。名称は「工場」だが、そこにはコンピュータの製造拠点としての顔はなかった。
21世紀に入ってから富士通が断行した構造改革の煽りを受け、02年に石川県かほく市に本社をかまえる富士通ITプロダクツにハード製造機能を完全移管。沼津工場が果たす役割は、現在、基本ソフトとミドルウェアの開発が中心で、勤務する社員の約70%はソフト開発者が占めるまでに様変わりした。
アプリケーションプラットフォームの「Interstage(インターステージ)」をはじめ、データベースの「Symfoware(シンフォウェア)」、統合運用管理ソフト「Systemwalker(システムウォーカー)」など富士通の主要ミドルウェアは同工場が中心になって開発している。
ハードの製造からソフトの開発へ。コンピュータ業界の変遷とともに、業容を変えた沼津工場だが、モノ作りのDNAがなくなってしまったかといえば、けっしてそうではない。同工場には、ソフト開発部隊のほか、コンピュータの品質検証施設が残っている。
たとえば、サーバーやコンピュータが発生する電波を自動で測定する「電波暗室」。携帯電話の電波などあらゆる電波を遮断した状態で検査しなければ正確な数値を測れないため、暗室は床以外はすべてカーボンが内蔵された特殊な形状のスポンジで覆われている。富士通は、この電波暗室をコンピュータメーカーとして日本で初めて設置している。
また、機器から発生する騒音レベルを測るために設けているのが「無響音室」。部屋内の音は、6デシベル(ほぼ無音)という環境をつくり、サーバーやパソコンを起動させる。マイクが自動的にその機器から発生する騒音レベルをチェック。サーバーやパソコンを商品化するにあたって、騒音レベルの規制はないが、コモディティ化が進んだサーバーやパソコンのなかで、〝静かさ〟は差別化要素となる。富士通では、パソコンから発生する騒音レベルを22─23デシベルに設定しているという。このほか、「振動試験室」では、地震発生時の揺れや、トラックで運ぶ状況をつくり出して輸送する際の振動への対応力を測定する。
この3つの設備を用意するだけで数十億円規模の投資を富士通は行っている。富士通グループのなかでこの設備を設けているのは、グローバルでみても、この沼津工場しかなく、検証工程を担当できる人材もここに集約している。
大型コンピュータの量産工場として成長してきた沼津工場も、今はソフトウェアの開発拠点としての色が濃い。ただ、ハードの品質チェックを行う検証施設としての役割を引き継いでおり、富士通のモノ作りの最終工程を支え続けている。
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