NEC（矢野薫社長）は、同社ブランドである企業向けレーザープリンタ「MultiWriter（マルチライタ）シリーズ」の販売を強化する。グループ会社などに分散していた販売体制を本体に一本化。自社のハードウェアとソフトウェア、プリンタを組み合わせたソリューション提案を直販やNEC販社の「特約店」で積極化する。また、11月から販売を開始したA3判対応のカラーレーザープリンタで、既存ユーザー企業のカラー化を促進し、今年度（2007年3月期）中に全出荷台数の20％へ押し上げる。

　「マルチライタシリーズ」や消耗品はこれまで、NEC本体をはじめNECパーソナルプロダクツ、NECフィールディングが販売しており、非効率的な販売体制になっていた。このため、レーザープリンタは、NEC本体の新組織「ディスプレイ・ドキュメント事業部」が窓口となり一括対応する体制に改めた。

　同事業部では、入出力文書に関連したセキュリティや内部統制、e文書法などに対応して、サーバーやセキュリティソフト「InfoCage」、文書管理ソフト「DocumentSkipper」などとレーザープリンタを組み合わせたソリューション提案を、他部署とも連携してすすめる。また、「特約店」や地域販社の製品などとレーザープリンタを連携させた販売方法を検討する。

　国内市場のカラー化率が全出荷台数の約30％であるのに対し、同社は10％と低く、「まずは、自社内のモノクロ機をカラーにリプレイスして」（仲野良治・ディスプレイ・ドキュメント事業部マネージャー）、社内のリプレイス事例を社外展開することで、今年度内にこれを20％に引き上げる。

　「マルチライタシリーズ」は、基幹システムの出力用途に利用されているため、モノクロ機が大部分を占める。さらに、同プリンタを導入する企業は、一般オフィスの出力用途と兼用でモノクロ機を利用しているため、カラー化率が平均値より低い。これについて、「兼用している部分のカラー化を促進する」方針だ。

　11月には、A3対応カラーレーザープリンタ「MultiWriter 2900C」の販売を開始した。同クラスの従来機（MultiWriter 9250C）に比べ、約54％も小型化し、印刷速度で同レベルのモノクロ機並みの14万8000円という低価格にした戦略プリンタである。NEC独自のページ言語「NPDL Level2」に標準対応しているため、モノクロ機のマルチライタから簡単に移行できる。兼用部分へ同機の導入を薦め、モノクロ機の買い替えを促す。

　中長期的には、高単価で収益率の高いレーザープリンタと消耗品で、レーザープリンタ事業を大幅に押し上げる計画だ。