50万円以上100万円未満の製品が好調

　電子情報技術産業協会（JEITA）は、今年度上期（4─9月）のサーバー出荷実績をまとめた。デルを除く主要サーバーメーカーが実績データを提供し、JEITAが集計した数値なので信憑性が高い。JEITAによると市場カバー率は90％という。そのなかで、成長分野のIAサーバーは、台数と金額の両方とも伸びた唯一の分野で、需要の強さを改めて印象づけた。

　上期出荷実績は、台数で前年同期比12％増の21万1485台、金額で同1％増の1355億5000万円。JEITAでは、「今年度通期でもUNIXを含めたオープンサーバーで、二ケタ成長が期待できる」とみている。また、JEITAが独自に行った08年度までの需要予測でも、台数と金額ともに右肩上がりで、08年度には台数で55万1600台、金額で3481億円に達すると予測する。

　価格別でみると、もっとも売れているのは、やはり50万円未満のエントリー製品。15万5455台の出荷で、全台数の73・5％を占めている。しかし、伸びは鈍化。台数で4％増、金額では7％減とこれまでの成長から一転、金額は前年割れに追い込まれた。05年度上期は台数16％増、金額12％増だっただけに、成長に陰りがみえてきた印象は否めない。

　一方、この上期に飛躍的に伸びた価格帯は、50万円以上100万円未満。台数は54％増の4万6323台、金額は35％増の407億5500万円で、台数・金額ともに唯一伸びた価格帯となった。

　ユーザー企業の産業別では、UNIXとIAサーバーの産業別出荷金額構成比率を照らし合わせ、IAサーバーがUNIXよりも強い分野を導き出した。UNIXで構成比率が5.0％なのに対し、IAサーバーでは23.0％を占めた業種は販売業。IAサーバのなかでは、サービス業の次に出荷金額が大きい業種で、UNIXよりも受け入れられていることが分かった。

　また、IAサーバーの出荷を分析するうえで、重要な要素になりつつあるのが、ブレードサーバーだ。JEITAでは昨年度からブレードサーバーのみの出荷台数も集計し始めている。今年度上期は初めて前年同期と比較した数字が把握できるようになった。上期の出荷台数は1万5519台。前年度上期に比べ23％伸びた。全IAサーバーの7・3％しか占めないが、全IAサーバーの台数伸び率比で約2倍の伸び率を示した。また、JEITAのユーザー調査では、昨年度ブレードサーバーの利用状況は03年度に比べ2倍の12％に上昇。関心があると回答したユーザーは、9ポイント上昇している。伸び盛りのIAサーバーのなかでも、ブレードがひときわ成長していることを裏づけた。

　IAサーバーの上期実績と中期的な予測をみると、当面IAサーバーのニーズは底堅く、市場は広がるだろう。しかし、気になるのは出荷金額だ。需要の中心が50万円未満から50万円以上100万円未満に移っている傾向が現れているにもかかわらず、わずか1％増にとどまった状況は楽観視できない。「価格下落は緩やかになりつつある」というが、メーカーにとっては好転する市場に甘んじていられる環境ではなさそうだ。