セキュリティアプライアンスメーカーの独アスタローは、日本法人を設立した。欧州を中心に世界的に事業展開するが、アジアを販売強化マーケットに定め、そのなかでも市場規模が大きい日本での営業体制拡充が必要と判断した。アスタローがアジア地域で現地法人を設立するのは今回が初めて。全世界の売上高のうち、アジアが占める売上高を現在の10％から1年後に20％まで高める計画。

　独アスタローは、ウイルス対策やファイアウォール、IPS（不正侵入防御）など複数のセキュリティ機能を持つ「UTM（統合脅威管理）」と呼ばれる専用ハードウェアのメーカー。主力製品の「Astaro Security Gateway」は9つのセキュリティ機能を持つ。欧州でのマーケットシェアは「5－10％でトップ5位に入っている」（アンディ・バーグマイヤー・アジアパシフィック担当バイスプレジデント）と、有力メーカーであることを強調する。

　欧州市場に強く、全売上高のうち欧州が60％を占め30％が米国、残りの10％が日本を中心としたアジア地域が占める。今後の成長を考えるなかで、アジアは潜在需要が大きいと判断し、そのなかでももっとも需要が見込める日本の販売体制を拡充することにした。11月中旬から本格的に営業活動を開始。来年1月に主力製品の新版「Astaro Security Gateway V7」の日本語モデルを発売予定で、新製品の販売に弾みをつける狙いもある。

　日本法人の役割は、まずは現在の1次代理店であるネクスト・イットとエヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズの販売および技術支援。バーグマイヤー・バイスプレジデントは、「もう1社販売代理店を増やす可能性がある」とし、現地法人設立を機に、1次代理店を増やすことを検討し始めた。代理店のネクスト・イットはアスタロー製品の販売で実績が高く、昨年度（2006年3月期）の販売台数は約200台、今年度は11月段階で約200台の販売実績がある。